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第22回ユニバーシアード冬季競技大会 スピードスケート

(C)photo kishimoto
第22回
ユニバーシアード冬季競技大会
(2005/インスブルック)
スピードスケート

 

SPORTS IMPACT
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(C)photo kishimoto
vol.235-2(2005年 1月28日発行)
葉山 洋/マーケティング・コンサルタント

オリンピック・ディベートは中止に

岡崎 満義/ジャーナリスト
  〜萩原美樹子さんのコラムが面白い〜
市川 一夫/スポーツライター
  〜JOCのマーケティングは金が全て〜
  −表彰台ウエアの権利は入札方式導入と発表−

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オリンピック・ディベートは中止に
(葉山 洋/マーケティング・コンサルタント)

 世界の名だたる大都市が立候補している2012年のオリンピック。金銭の授受を伴う招致疑惑が取りざたされて以来、IOCは過敏とも言えるくらい慎重だ。立候補都市のPR活動は厳しく制限され、透明性の確保にやっきだ。いずれにしても開催都市はIOC委員115名の投票により決定されるので、1票の価値はかなり重い(現時点の委員数は規定の人数を大幅に上回る)。立候補都市それぞれの魅力、セールスポイント、意義付けは各国の名士であるIOC委員たちによってどのように判断されるのだろう。スポーツファンとしては興味がつのる。

 一市民の興味をある程度満足させてくれ、かつ選定プロセスにも一定の透明性を担保してくれそうな企画が先週中止に追い込まれた。残念なことである。その企画とは最終候補都市5都市による公開テレビ討論会、ディベートの中継である。企画を推進したのはイギリスのBBCだ。可能性を若干匂わしていたIOCから最終判断としてのNOが届き、18日、BBCは企画を断念した。ディベートの予定日は今月の29日であった。

 投票前のテレビのディベートといえばアメリカの大統領選挙を思い出す。中でも約40年前に争われたリチャード・ニクソン対ジョン・F・ケネディのケースでは、有利と目されていたニクソン候補がテレビ上のアピアランスでスマートなケネディに見劣りし、結果的に実績でははるかに劣るケネディが大統領に当選することになる。テレビメディアが世論の形成に並々ならぬパワーを発揮したエポック的出来事であった。

 テレビのパワーは今もって侮りがたい。しかしながら昨年のアメリカ大統領選挙が示したようにテレビを通じてのプレゼンテーションが全てではない。J・W・ブッシュはテレビではうまく立ち回れなかったのだが、現職の強さを発揮してホワイトハウスにとどまることになった。現代に生きる我々にはテレビ以外にも情報を得る手段があり、テレビを始めとするマスメディアが発信する情報とクロスさせて客観的な判断を下すことが可能だ。その代表的な情報ソースがインターネットである。

 2012年の立候補都市がIOCのガイドラインに沿って提出した開催趣意書、Bidding Documentは全てネット上で閲覧できる。スポーツを取り巻く情報開示への取り組みとしては高く評価したい姿勢だ。今回はその中からスポーツマーケティング的に興味深いトピックスを紹介しよう。パリ、ロンドン、モスクワ、マドリッド、ニューヨークの5都市の中で、国の首都でなく、かつ過去にオリンピックを開催した経験のないニューヨーク市の提案である。

 第7章の「マーケティング」の中でニューヨーク市招致委員会はアメリカ国内のローカル・スポンサーシップのセールス目標として8億2200万ドル(約830億円)は可能だとした上で、市内に存在する屋外広告スペースのうち95%以上を既に管理下においたと表明した。オフィシャルスポンサーを始めとする公式協賛社のみが媒体購入ができるシステムである。その詳細は、市内の屋外看板、バスの車体、地下鉄とそのプラットフォーム。ラガーディア、ニューアーク、JFKの3つの国際空港。25万本の街頭フラッグ・ポール、1万3000の公衆電話。通称ストリート・ファニチャーと呼ばれるバスの停留所と街角のキオスクに至ってはオリンピックの4週前から確保できているそうだ。

 オリンピックが他の国際スポーツイベントと大きく異なる点はクリーン・ベニューの原則である。選手がプレーを行う競技場内には広告表示は許されない。看板もゼッケンもバナーもなしだ。スタジアムの外ですら競技場のエリア内では、厳格にコントロールされた極めて上品な「商業露出」にとどまる。しかし開催地の街中は別だ。オフィシャル企業も、無関係な企業も工夫を凝らして街頭を彩る。屋外広告スペースはアンブッシュ展開の温床にも成りえるのだ。その意味でニューヨーク市のコミットメントはオリンピックのマーケティング史上画期的、革命的とも言えよう。何と言っても、あの屋外広告が溢れるマンハッタンが対象なのだ。

 各都市へのIOCのインスペクションは2月から3月にかけて実施される。まだ日数がある。2012年の開催都市が決定するのは7月6日。シンガポールでの第117回IOC総会だ。


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