ロシアの「妖精」マリア・シャラポアが世界ランキング1位のリンゼイ・ダベンポート(米)とフルセットを闘い、タイブレークの末激戦を制する。今年の東レ・パンパシフィックオープンのシングルスは願ってもない最高のかたちでファイナルを迎えた。加えて、シャラポアと準決勝で対戦し、第2セットをタイブレークまで持ち込んだ朝越しのぶもよかった。今後に期待感を感じさせる粘りだった。 全国紙は各紙ともカラー写真。新聞は「女の熱い戦い」に大いに紙面を割き、2月6日(日)のテレビ(TBS)のレーティングも10%を超えた。大会記録の延べ5万人を超える観客を集めた東レPPOは今年最初のWTAのTier
I(ティア1)イベントであるだけでなく、日本で開催されている最高レベルのプロテニス大会でもある。ティア1は4大大会(グランドスラム)に次ぐクラスに位置する女子トーナメントで注目率が高いのは当然だが、今年は特にスポーツマーケティング的にも注目してみたい試合だった。 大半の日本のファンはこのテニスツアーの正式名がSony
Ericsson WTA Tour であることの重要性に気付いていないかもしれない。注意して見ていれば、インタビューの際のバックドロップ(背景の集合ロゴ)や東京体育館の会場内に掲出された各協賛企業名の中に「Sony
Ericsson」 が見出せたろう。そして、コート上では左右のネットポストに取り付けられた同社の社名とすぐ内側のネット面にグリーンとシルバーグレーのソニー・エリクソンの特徴ある円形のロゴマークが際立った。 バージニアスリム以来6社目のWTAツアー冠スポンサーとなったソニー・エリクソンにとって今回のコミットメントは同社にとって始めての国際的な大型スポーツスポンサーシップである。1月5日に発表されたディールの内容は、6年契約で8800万ドル(約92億円)という。これはテニスと女子スポーツとしては史上最高額だ。ソニー・エリクソンのマイルズ・フリント社長はSMS(欧州で普及しているGMS携帯のショート・メッセージ・サービス)やその他のモバイルテクノロジーを駆使してファンの参加性を促し、テニスがよりインタラクティブなスポーツになることでデザイン、ファッション、音楽とのシナジーに将来の可能性を示唆した。 楽天やソフトバンクがインターネットの活用による球団ビジネスの開発や新たなファンサービスの展開を標榜しているが、3G携帯等のコミュニケーション・デバイスの進化によってグローバル・スケールでスポーツとテクノロジーの融合が加速される可能性もある。それにしても、欧米ではかなり注目されたソニー・エリクソンとWTAの契約締結だが日本ではメディアの関心はいたって低かった。何故なのだろうか? |