香港セブンズの開催が近づいて来た。日程は3月の18日から20日だが、日本代表選手は既に現地入り、今や本番に向けて最後の調整中だろう。 7人制ラグビーは日本では馴染みが薄い。しかし、7分ハーフで行われるスピーディなランニングラグビーに魅了される人も多いはず。 中でも香港セブンズは世界24カ国が参加するワールドクラスのイベントだ。常にチケットは売り切れる。30周年の記念すべき今年の大会はワールドカップ・セブンズとしての開催。アジア予選を突破した日本は今年も本大会に駒を進めることができた。 ファンとしてはぜひとも昨年以上の結果を期待したい。さらに、日本ラグビーフットボール協会にとって香港でのセブンズは2011年のワールドカップ招致のための絶好の機会。よい試合をして日本ラグビーの実力を世界にアピールしてほしい。 世界のラグビー関係者が一同に会する香港はロビーイングの場でもある。招致入札書類の提出、IRB(国際ラグビーボード)によるインスペクションと開催国決定は最終段階に入る。招致委員会としては各国のラグビー協会に接触して、日本への支持を訴える絶好の機会だ。 先月半ばに香港で行われたワールドカップ・セブンズのドローの後、IRBのシド・ミラー会長が来日した。日本選手権の準決勝、東芝府中対トヨタ自動車を観戦し、日産スタジアム(横浜国際競技上)を訪れた。その際のミラー会長のリップサービスとも言える発言を世界のメディアがいっせいに報じた。 曰く、このスタジアムはラグビー・ワールドカップの決勝戦会場にふさわしい素晴らしい施設だ。開催国の選択は、地元ラグビー協会の運営能力、宿泊施設、政府の協力体制、スタジアムのクオリティなどが検討課題になるが、日本のスタジアムの質の高さには満足している。 各メディアは昨年11月のミラー会長の日本支持コメントとも取れる、「世界のラグビーの発展を考えると、ワールドカップは極東や北米などラグビーの主要地域以外で開催すべきだろう」との発言にも言及。同じく立候補している南アフリカが前年の2010年にFIFAワールドカップの開催を控えていることや、ニュージーランドが第1回のワールドカップの開催国であることにも触れ、日本有利との見解を示した。 反応の大きさに驚いたIRBはすかさずコメントを発表。ミラー会長の訪日はワールドカップとは無関係であり、横浜国際総合競技場への評価は日本でワールドカップを開催すべきという考えを反映したものではなく、さらにラグビーの主要地域以外でのワールドカップ開催もIRBの長期戦略の一部にすぎない−、として日本への偏向を打ち消した。 結局のところIRBが最も期待するのは日本開催が南ア、ニュージーランドに比べて経済的に有利か否か、であろう。4年に1回開催されるラグビー・ワールドカップはIRBにとって唯一の大口収入源だ。テレビ放映権、スポンサーシップ、マーチャンダイジングといった商業的側面でラグビー先進国でない「日本だからこそ」のプラスαへの期待感は大きい。 しかし日本のスポーツファンの関心度、高額が予想されるチケットの販売等、潜在需要に関しては不安もある。開催国決定は今年の11月、アイルランドのダブリンでのIRB理事会だ。まさかとは思うが、ラブコールを送ってきている香港やニュージーランドとの共同開催という中途半端な決着だけは避けたいものだ。 |