福原 愛ちゃんが中国の卓球スーパーリーグの遼寧省チームに移籍し、活躍中だ。調査会社、中央調査社が6月に発表した第13回「人気スポーツ調査」では、好きなスポーツ選手の8位に初登場。人気の高さを裏付けた。 愛ちゃん人気を支える要素のひとつにインタビューでの天真爛漫な受け答えがある。それが今や中国語だ。凄い、偉い、と思う。 アスリートの本領は競技会での活躍を通じて発揮される。ファンもそれを望んでいるのは当然だ。しかし彼あるいは彼女のパーソナリティ、人間としての魅力は、生の発言、主にテレビのインタビューで形成されてしまう。気の利いた一言がファン層をおおいに拡大することもあるだろう。 スポーツ団体やチームの中には選手に「話し方」のハウツーを指導しているところもある。いまやファン重視の姿勢は多くのスポーツで優先課題になっていて、選手も慣れてきた。昔はマイクに向かってゼーゼー言うだけだった力士さえ最近では積極的にしゃべってくれるようになった。 気になることもある。プロ野球のヒーロー・インタビューの締めくくりに「頑張りますので、これからも応援おねがいしまぁ〜す!」とアピールするのは余りにも画一的だ。ファンとの距離感を縮めようという気持は分からないでもないが、もう少々工夫があって、各選手の個性が発揮されてもいい。お立ち台でマイクを向けるインタビュアーの責任も重大だ。「最後にファンのみなさんに一言」以外考えつかないのか、と言いたくなる。 ワールドカップ・アジア最終予選のバーレーンでのアウェイ戦に勝利した後のフラッシュ・インタビュー。北朝鮮戦に向けての抱負をたずねられた中田英寿選手は、怪訝な表情で「それは、さっき答えたじゃないですか」と切り捨てた。30度を越すバーレーンの空気が一瞬凍りついたが、非がインタビュアー側にあったのは明らかだった。 スポーツを盛り上げるためにメディアが果たす役割は大きい。試合の中継や結果の報道だけでなく、周辺情報や裏話、選手や監督の発言を伝えることにより人々はスポーツに対する理解を一層深める。親しみも増すだろう。 往々にしてインタビューは、あらかじめ想定したプロットに沿って進められがちだ。インタビュアーは質問という形式で「ストーリー」をしゃべり、要所に選手の肉声を入れるべく誘導する。予期した通りの答えが返ってくれば良いが、そうとも限らない。プロット自体の視点がずれていれば尚更だ。インタビューのあるべき姿は、短く要点を衝いた質問で多くを引き出すことにあるのだが、逆のケースばかりが目についてしまう。取材に直接たずさわるアナウンサーを始めとする「聞き手」にはプロとして一層の自覚と研鑽を促したい。ファンとアスリートの間に立つ責任は重いのだ。 テニスのジョン・マッケンローが来日し、トーナメントで予想通り優勝を飾ったことがあった。セイコー・スーパー・テニスだったと思う。ファイナル直後のコート上でのインタビュー。「見事な勝利おめでとうございます。さて、今夜はどのように過ごされる計画ですか?」じろっと睨んだマッケンロー曰く、Non
of your business!(余計なお世話だ!)この発言が通訳されなかったのは言うまでもない。 このシーン、20年前のことだが、今でも鮮明に記憶している。 |