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原田 雅彦

 

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vol.273-2(2005年10月21日発行)
葉山 洋/マーケティング・コンサルタント

千葉ロッテマリーンズが面白い

佐藤 次郎/スポーツライター
 〜マリーンズが教えている〜

滝口 隆司/毎日新聞記者
 〜ロッテ優勝に見るプロ野球と地域性〜

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千葉ロッテマリーンズが面白い
(葉山 洋/マーケティング・コンサルタント)

 千葉ロッテマリーンズが3勝2敗でプレーオフを制し、31年ぶりにパ・リーグ優勝の栄冠を勝ち取った。敵地ヤフーBBスタジアムでの胴上げだったため、パブリック・ビューイングを実施した(なんと3日連続だ!)千葉マリンスタジアムには雨天にもかかわらず12,000人ものファンが詰めかけ、優勝の瞬間を喜び合った。

 ボビー・バレンタインが再び監督に就任してから2年目。今シーズンのマリーンズの強さで印象的だったのは、今年から導入されたセ・パ交流戦だ。開幕以来の好調さを維持したまま24勝11敗1分で初代チャンピオンとなり、賞金5,000万円を手にした。

 興味深いのはセ・リーグの覇者、阪神タイガーズも交流戦を21勝してセ・リーグ1位で終え、そのまま調子を上げて優勝に突き進んだことだ。さらに言えば、実は福岡ソフトバンクホークスも23勝をあげている。今シーズンのプロ野球全体の結果を占うような順位だったのだ。

 今年もプレーオフで涙を呑んだホークスはともかく、阪神タイガーズと千葉ロッテマリーンズのリーグ優勝をシーズン前に予想した人は必ずしも多くはない。

 電通の子会社、電通リサーチが開幕直前の3月に全国5,000人を対象に実施したインターネット調査の結果、ペナントレース順位予想で阪神とロッテは仲良く4位。ロッテの優勝を予想したのはたった1.1%しかなく、12全球団中最低であった。「あなたが今年注目しているチームは?」という質問に関しても、ロッテのスコアは4.5%で最も低かったのだ。いったいぜんたい、ロッテファンとはどの様な人々なのか。

 千葉ロッテマリーンズ・ファンの応援スタイルは定評がある。応援団のマナーは日本一、と言われている。球団を愛しているから、ということなのだろうが、これには球団側のマーケティング努力と応援団の指導力が大いに貢献したと言える。

 マリーンズの応援では他球場ではお馴染みのメガホンが事実上使用禁止である。ファンは肉声と拍手、そしてさまざまな応援歌で盛り立てる。米メジャーリーグやサッカーのサポーターを研究して編み出したスタイルだ。一度経験すると独特の楽しさが忘れられなくなるという。

 選手との距離感も近い。今シーズンから内野のフェンスが低くなり、ベンチ上部には監督や選手が挨拶する「パフォーマンス・スペース」を設置。さらに背番号26を永久欠番とし、ファンを26人目のプレーヤーと位置づけてユニフォームをベンチに掲げて試合に臨むようになった。企画スタッフのアイディアが光る。

 1992年に川崎から移転したロッテは、球団を持ったことがなかった千葉県民に暖かく迎えられた。新しくファンが生まれた。若いファンが多い。女性も多い。スタジアムもきれいだし、何より近隣の駐車スペースが広い。首都圏にある野球場で車で観戦にいけるのは千葉マリンスタジアムだけである。時代感覚にマッチしているとも言えるだろう。

 地元経済にかかわりの深い民間シンクタンク、ちばぎん総合研究所はマリーンズが日本一を達成したときの千葉県経済への経済波及効果を試算した。優勝セールや球場内外での飲食の売り上げ増大等の直接需要を含むシーズンを通しての波及効果は、389億円とはじき出された。阪神タイガーズの709億円(関西地区)に比較すると少々見劣りするが、バレンタイン効果はそれだけではない。

 リーグ優勝を決めた10月17日のテレビ視聴率は17%。テレビ東京には失礼だが、局のパワーを考慮するとかなり凄い数字だ。ファンは確実に増加している。恐らく以前は巨人を応援していた地元県民や東京からもロッテに鞍替えする人々が増えているのではないだろうか。

 紹介した3月時点での調査は、ある意味で底とも言える状況を示していた。だから、球団が努力を怠らず、選手が力一杯プレーをし、コア・ファンが日本一の声援を送り続ければ、千葉ロッテマリーンズのバリューはこれからも高まり続けるに違いない。九州や北海道のような地元密着型の球団の在り方が首都圏でも定着しつつある。


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