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vol.281-2(2005年12月16日発行)
葉山 洋/マーケティング・コンサルタント

期待感を膨らませるドロー

大坪 正則/帝京大学経済学部教授linkggire
 〜フロリダ・マーリンズの本拠地移転問題〜

滝口 隆司/毎日新聞運動部記者linkggire
 〜10代が引っ張る日本スポーツ?〜


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期待感を膨らませるドロー
(葉山 洋/マーケティング・コンサルタント)

 スポーツ界今年最後のビッグイベント、2006FIFAワールドカップ・ドイツ大会のファイナルドロー(組合せ抽選会)が行われた。

 ヨーロッパ時間の夜に開催されたため、日本では翌日の早朝。NHK総合が10日(土)の5時から中継した特別番組の視聴率は、なんと3.2%にも達した。新聞各紙も10日の夕刊と11日の朝刊でかなりの紙面を割いて組合せ結果を報じ、見通しを論じた。

 スポーツ関連の催事で、競技そのものでないのにもかかわらず、ここまでの注目を集めるコンテンツはまず無い。ワールドカップのドロー以外にあるとすればオリンピックの開催都市を決定するIOC総会だろうが、これも招致に直接関係なければ関心は薄い。

 ファイナルドローの会場となったライプチヒのメッセホールにはペレをはじめとしてサッカー・セレブが集結。来年6月の本大会への期待感を醸成するための華やかな演出がほどこされた。

 ファイナルドローが単なる組合せ抽選だけでなく、ドラマタイズされるようになったのはワールドカップ94。アメリカ大会からだ。サッカー人気が今ひとつだった開催国で、なんとか話題づくりをしようとした組織委員会が工夫を凝らしてアメリカならではのショー仕立てにした。加えて協賛をつのり、少しでも大会運営予算の「足し」にしようとしたのだ。

 その後もメディア価値を高めるためのコンテンツ充実を望んだFIFAが、続くフランス、そして韓国においてもドローセレモニーのショーアップを促進した。

 ショーアップがあろうが無かろうが、ドローは全世界から注目される。いつも感心するが、グループ毎の4カ国の組合せ確定プロセスは実にうまく考えられている。組合せの結果もまた然りである。「ポットに何か仕掛けがあるのではないか」、「国名が封入されているボールが冷やしてあるので触れると分かるらしい」さまざまな憶測が乱れ飛ぶが、こればかりは筆者も知らない。

 今回、日本代表はどこまで行けるだろう。オーストラリアには勝てるだろう?クロアチアはリベンジだ。ブラジルとは闘えるだけでも凄い!ジーコが監督というのも憎い。無条件にワクワクする。

 ワールドカップの本大会まであと半年。世界の32カ国でそれぞれの思いが膨らんでいるに違いない。ドローの結果がもたらした一種独特の興奮。スポーツの価値の本質は「期待感」なのだ、ということが改めて認識できたイベントであった。


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