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vol.271-2(2005年10月 7日発行)
佐藤 次郎/スポーツライター

地道な継続という魅力

滝口 隆司/毎日新聞記者
  〜四国アイランドリーグの「決算」は?〜
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地道な継続という魅力
佐藤 次郎/スポーツライター)

 今季のパ・リーグでは堀幸一に注目していた。

 千葉ロッテ・マリーンズの内野手である。ロッテ一筋に18年を過ごしてきた。先シーズンの終わりにその通算記録を見ていささか驚いたのが、注目し始めたきっかけである。

 もちろん堀はいい選手だが、いわゆるスタープレーヤーではない。それほど目立つ存在であったことは一度もない。しかし彼の通算安打数を見てほしい。実に1700本に近づいているのだ。

 2000本安打を達成すると名球会に入れることになっている。名球会という組織の意義はともかく、この2000本−200勝クラブに入っているのは、知名度の高いスター選手ばかりだ。現実的に考えて、2000本の壁がきわめて高いのは間違いない。

 しかし堀は着々とその2000本に迫っている。全国区のスターであったことは一度もないのに、である(もちろんロッテファンにとってはそうではない)。それだけでも彼を応援したくなるというものだ。これはすなわち、飛びぬけた素質やスター性を持っているわけではないのに、長く途切れずにチームに貢献していく堅実さと、それを可能にしてきた地道な努力によって、名球会のスターに劣らない成績をあげてきたということなのである。

 そこにはロッテ球団が貢献度をきちんと評価してきたという側面もある。そうでなければ、ここまでプレーし続けてこられなかっただろう。彼にとってはこのチームこそがベストだったということだ。

 今季のレギュラーシーズンを終えて、堀は3割5厘の打率を残した。これはリーグ8位の好成績だった。36歳でこの成績は立派の一言に尽きる。通算安打は今季で1681安打になった。あと3年ほどこの調子を続ければ、堂々と2000本に到達するということだ。ぜひ快挙を実現してほしい。

 もちろん名球会などどうでもいい。大事なのは、地道にプレーを積み重ねてきた、まったく地味な存在が、派手なスターに伍して同じだけの実績をあげたという事実なのだ。人を引きつけるスター性はプロスポーツに欠かせないし、そうしたスターがまず第一にもてはやされるのも当たり前だが、スポーツというのはそれだけではない。こうした脇役が渋い光を発してこそ、競技としての魅力がおおいに増すというものなのである。

 メディアにはスターばかり登場する。人気球団にいるというだけで、たいしたこともない選手が、まるでスーパースターのごとき扱いを受けるのも珍しくない。それよりもずっと活躍している選手が何人もいるというのに、だ。

それでは野球の本当の魅力は伝わらない。地味でも味のあるプレーで見る者を楽しませてくれる選手にも、もっとスポットライトが当たってほしいものだ。堀幸一だけではない。そういう選手はそれこそ何人もいる。彼らにひそかな拍手を送るのも、ファンの楽しみなのである。


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