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vol.301-2(2006年 5月17日発行)
松原 明 /東京中日スポーツ報道部

「シンシナチ・レッズの改革」


 メジャー・リーグは約4分の1の日程を過ぎて、明暗がはっきりし始めた。
今季の異変は「また最下位争い」と見られていた、シンシナチ・レッズの躍進だろう。

 ナショナル・リーグの本命、カージナルスと、アストロズに分け入り上位へ食い込む健闘。この背景には、新オーナー、ロバート・キャステラニ氏の陣頭指揮、フロント介入、組織改革の成果にある。同氏は64歳。地元シンシナチの実業家。運輸、不動産業で成功。昨年までのオーナー、カール・リンドナー氏(オーナー7年間)が「86歳の高齢になったので、後進に道を譲りたい」と、引退を宣言した後を受けて、経営に乗り出した。

 買収値段は約2億7000万j(約315億円)。買収が承認されると、即座にレッズのホーム、グレート・アメリカン・ボール・パークへ乗り込み、球場内にオーナー室を設け、自分の腹心のウィリアムス兄弟を会長、副会長に据え、1月22日に、D・オブライエンGMを解任。「私の意向に沿う男を自分で選ぶ」と、8人の候補者に面接。ツインズのGM補佐、ウェイン・クリボスキーを任命した。このGMはレンジャース、ツインズでGM補佐25年。スカウトも兼ね、選手契約、育成にも手腕を発揮していた男。まだ51歳の働き盛り。

 オーナーは就任と同時に全職員を球場に集め「5年間も負け越しではいけない。チャンピオン・チームを再建しよう」と、激励。さらに、シンシナチ市民に5箇条の声明文をメールで送った。

 「@チャンピオンシップ・チームを作るA内部の気風刷新B地域貢献、福祉活動に努力Cファンと一体Dファンと楽しめるチームを」と、公約した。

 クリボスキーの就任はキャンプ目前の2月8日。選手獲得の時間はなかったのに、エース、アロヨ投手(レッドソックス)を始め、チームの活性化に頑張った。

 レッズは1970年代には「ビッグ・レッド・マシン」と、恐れられる黄金時代を作り挙げた歴史がある。まだ、市民の反応は鈍い。成績も好ダッシュの反動で徐々に後退しつつある。

 だが、これまでのように「金は出すが、口は出さない」傍観オーナーでなく、チームにピンと緊張を与えたオーナーの出現は、プラスになるはずだ。

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