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vol.306-3(2006年 6月23日発行)
松原 明 /東京中日スポーツ報道部
「日本代表の惨敗」

 やはり、心配されたように、王者・ブラジルに翻弄され、日本代表は1勝もできず、惨敗した。勝てる試合だった第1戦の不可解な選手起用、ミス采配で失ったのがすべてだった。

 ブラジルとの基本技術の差、ボール扱い、一瞬で動く長短自在のパスの精度、鋭さ、全員の動き。すべてにおいて、力の違いをはっきり見せつけられたではないか。この歴然とした差があるのに、「勝てます」「ブラジルは守備にスキがあるから2点取れる」と、無責任な発言を繰り返していた解説者は、どう、思うだろうか。

 オーストラリア、クロアチアが必死で攻めても1点も取らせなかった、ブラジルのどこにスキがあるのだろうか。思えば、アジア予選第1ラウンドから、日本は満足な試合を見せていない。幸運な決勝点や、オウンゴールなどで勝ち進んだだけで、すごさを見せた試合はひとつもなかった。「これで大丈夫か」と、不安視されながら本大会を迎えてしまった。

 特に、チームが一丸になっていなければならなかった今年のスタートから、訴えるものが何もない。国内組だけのアメリカ代表に3失点。2軍のボスニアにロスタイムでやっと引き分け。

 大会前日来日のブルガリアに2失点の完敗。キリンカップは2年連続1勝もできないまま。不安点は解消されないうちに、ついに、強い相手と一度も試合できない調整の甘さだった。それでも勝てる、と放言を繰り返していた。この精神状態ではなかったか。

 しかも、2試合勝てず、あとがなくなってから「午後3時開始の試合はスポイルした」と言うジーコ監督の暴言は、世界の物笑いになった。午後3時開始は、組み分け抽選のとき「日本の夜に放映したい」と、日本のテレビ局の意向で変更されたもの。「何をいまさら」と、だれも相手にしなかった。

 試合時間で文句を言った国などない。これでは、決勝トーナメントへ進む資格はない。

 これまで欧州の3大会で1勝もできなかった韓国は、4大会、8戦目でついに初勝利をつかんだ。韓国は20年余の苦闘を重ねて得た貴重な勝利。アジア勢が欧州で勝つのは、それほど、至難のワザなのだ。

 日本全体の甘い考えを吹き飛ばす、今回の完敗。どう、指導者が立て直すか、課題は山積している。

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