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vol.333-2(2006年12月27日発行)
松原 明 /東京中日スポーツ報道部
「ボストンのフェンウェイ球場の悩み」

 1999年7月12日、ボストンのフェンウェイ・パークで、当時のレッドソックス・オーナー、ジョン・ハリントン氏は、バド・シーリグ・コミッショナー同席で「新フェンウェイ・パーク」建設計画会見を開いた。

 「今のフェンウェイは、1912年誕生の大リーグ最古の野球場で、老化し、ファンをこれ以上収容できない。隣接の土地に、新たな野球場建設へ踏切りたい。2003年、オープンを予定している」。

 シーリグ氏も賛同し「新たな時代の幕開け」と、推進の意向を表明した。ところが、地元の熱狂ファンから「先祖代々、受け継いできたフェンウェイを建て換える、とは何事。絶対阻止する」と、反対運動が起こり、この立て替え計画は埋もれてしまった。

 ハリントン・オーナーは退陣。現在の、ジョン・ヘンリー氏へ移ってからは、全く新球場案も出て来ない。

 歴史が古いばかりか、狭いのでも有名。収容人数は、3万3991人から、3万8805人に拡張したが、もう、これ以上広げられない、ギリギリなのだ。

 2003年5月から、連日のセルアウト、満員の記録を更新し続けているフェンウェイほど、ファンの熱い思いが染みこんだ野球場はない。

 立て替え計画では、4万5000人収容で、約1万人の座席増加が確保され、「チケットがない不満に応えられたのに」と、フロントは嘆くが、「狭くても、これが俺達の野球場」と、ボストン・ファンは狂信的でガンとして改築反対を続けている。

 松坂大輔投手の入団で、日米で注目を集めるフェンウェイだが、記者席は、もう、新たなメディアが入る余地は全くない。野球場は、耐用期限が過ぎて、事故の恐れさえある。

 “ルースが建てた球場”と言われるヤンキー・スタジアムでも新築が決まり、2008年には新球場がオープン。改築せず、最古のままなのは、カブスのシカゴ・リグレー球場だけになった。

 さて、松坂入団で急増するメディアに、レッドソックスはどう対応するだろうか。

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