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vol.319-2(2006年 9月21日発行)
高山 奈美 /スポーツライター
改めて世界バスケの意義を問う

 閉幕から早2週間。改めて母国開催の世界バスケの意義は何であったのか。目標としていた決勝トーナメント進出を逃したとき以上に、先日9月13日に発表された新・全日本チームの顔ぶれを見て、その意義を問う次第である。

 3年半に渡ってチームを率いてきたジェリコ・パブリセビッチは当然のごとく解任され、現アイシンのヘッドコーチ、鈴木貴美一氏が新任された。

 鈴木氏は2002-03と2003-04年シーズンのスーパーリーグを制したヘッドコーチであり、当時はPG(ポイントガード)佐古をはじめ、フォワード陣の後藤、外山、帰化選手のエリック、そして控えのPG佐藤と、日本人レギュラーが全員30代半ばのベテラン選手という状況のなかでチームを優勝に導いおり、若手の育成というよりも、完成された選手の起用が巧いタイプのヘッドコーチである。

 その鈴木氏を迎え、さらに選手も今世界選手権を率いた若手のPG五十嵐や、3ポイントシューターの川村らを外して、36才のPG佐古を再抜てき。38才のエリック・マッカーサーや210cmの青野を選出するなど、新生・全日本というよりも旧・全日本に戻しての再出発となった。

 これはつまり、世界選手権の日本チームの方向性を否定していることになるのではないか。

 確かに世界選手権で日本は決勝トーナメント進出を果たすことはできなかったが、強豪ドイツに肉薄し、南米大陸代表のパナマに歴史的勝利を遂げ、前回大会4位のニュージーラインドに前半18点差のリードを奪う戦いを演じた。最終的に逆転負けを喫したが、無名の若い選手を次々と発掘、育成し、世界に通じるスピードとプレッシャーディフェンスのチームに育て上げたジェリコ氏の功績は少なからず認めるべきである。

 この世界選手権に挑んだ全日本チームは、ある意味で世界選手権は通過点であり、2008年の北京オリンピックや、その先を見越してのチーム編成でもあったはず。だからこそ、少しばかりの経験不足に目をつぶって、送りだしたのではないか。今、ここで、ベテランの佐古、エリックらの力に頼ったところで、どんな実りを期待することができるのか。

 長期的な強化路線で見れば、有り得ない後戻り、逆戻りとしか言いようがない。
世界バスケで盛り上がり、一気にメジャー化へ・・・。その夢が打ち砕かれた今、さらに、“後戻り”という悪夢を見なければならないとは。

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