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vol.344-2(2007年3月23日発行)
松原 明 /東京中日スポーツ報道部
「世界と日本の女子サッカー」

 日本代表女子サッカー「なでしこ」は、中国W杯プレーオフで、メキシコに1勝1敗ながら、辛うじて得失点差で代表権を得た。5大会連続の世界大会出場は、サッカー担当者として、本当にうれしい。しかし、4年前はまだ、チームが成熟していなかったメキシコの進歩には、目を見張るものがあり、また、一段とレベルアップしているのに、驚きを感じる。

 日本の一番の問題点は、これまで代表監督が先送りしてきた、若返りが行われておらず、チームの半分の中心選手が、北京五輪のころは30歳を越えるという、老化がはっきりしてきたことだ。

 今回、2ヶ月間も強化合宿し、万全の態勢で臨んだが、大苦戦だった。どんなに強化しても、年齢的な体力の衰えは隠せない。連戦になれば、体力の差は歴然としてくる。

 ランキング1位に戻ったアメリカも、W杯4回出場の5人のベテランを動かすことが出来ず、3位もやっと、の苦しい時期もあったが、ようやく若返りに成功。20代のヤング中心に切り替えた。

 最もフィジカルで強いのは北朝鮮。「金メダルに近いのは女子サッカー」と、国策で全国から有能選手をスカウトし、ついに昨年、U-20W杯で世界制覇。今や日本は、完全に北朝鮮に歯が立たない。

 これまで、女子サッカーを軽視してきたアフリカも、2003年の女子W杯シンポジウムで、FIFAに「発展途上国に技術援助を」と、一致してアピール。コーチ派遣、指導の約束を取り付けた。

 素質は優れているアフリカ諸国が目覚めれば、脅威の存在になるに違いない。もう、世界には「日本が楽に勝てる国はない」ことを良く認識してもらいたい。

 アジアは、北朝鮮の他、中国も若返りを進め、さらに、オーストラリアも加入した激戦区。日本は、このまま老化が進むと、アジア代表さえ困難になるのではあるまいか。

 日本サッカー協会は、若年層の強化に、今年度6000万円を投資し、活動を始めたが、彼女らが実るのは、早くても5年後。この間に切り替えができるかどうか。

 いま、まさに、転換期のはざまにある。

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