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vol.372-1(2007年10月4日発行)
松原 明 /東京中日スポーツ報道部
「これぞ、ストライカー」

 中国5都市で開催されたサッカー女子W杯は、ドイツの2連覇で終わった。4年前の大会と比べて飛躍的に向上したのは、素晴らしいストライカーが多数、現れたことだった。

 大会MVPと7得点で得点王の2冠王、ブラジルFWのマルタ。王座に着いた、歴代最多得点王(14得点)ドイツのエース・ストライカー、プリンツ。5得点のノルウェーFWガルブレッセン、180センチの巨人FW、6得点のウォンバック。マルタと名コンビのFW、5得点のブラジル・クリスチャンセン。いずれも、パワー、スピード、足技ともほれぼれするものを持つ代表スターだ。

 マルタは、身長160センチと小柄だが、一瞬で体を反転、DFを抜き去るワザは真似のしようがないすごさ。ドリブルも、スピードも、当たり負けしない、足腰の強さも抜群。さすが、昨年度の世界NO・1女子選手に選ばれただけはあるスターだ。ファンも、全員がマルタを応援。さながら、芝生の上でバレー・ダンスをするような、しなやかなフットワーク、体さばきは、ファンを魅了した。

 対人マークでは、とてもマルタを止められない。アメリカは、力で抑えようとして、翻弄された。組織でコンパクトに守り、相手の仕掛けにも乗らず、あせりに追い込んだドイツのチーム力と、変幻自在に攻めるブラジルの個人技は、「これが、女子サッカーか」とうなるほどの、見事な試合だった。

 マルタは、7歳から男子と一緒に遊ぶストリート・サッカーで育ち、男子の足技を自然に身につけたレフティだ。

 アジア代表の4か国は、健闘したが、これらに並べるような一流ストライカーがいなかった。日本のFWは前を向くことも出来ず、DFの壁も全く破れなかった。A代表、五輪代表、女子代表ともストライカーがいないのは、日本選手に共通した傾向ではないか。

 かつて、日本でもプレーした元ブラジル代表のFWカレカは、少年相手のサッカー教室で「君たち、DFが何を考えているか、判断してご覧。DFの立場に立って研究すると、意外に道は開けるんだよ」と、話したという。DFをいかに突破するか、少年時代から考える。マルタはそうして、自然に道を見つけてきた。「ストライカーは天才」と言われ、特殊な才能の持ち主が多いが、努力すれば道は開ける。まだまだ日本人は、努力が足りないのではあるまいか。

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