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vol.352-3(2007年5月18日発行)
滝口 隆司 /毎日新聞大阪本社運動部記者
高体連も動き出した

 全国高等学校体育連盟が、スポーツ特待制度の問題で動き出した。14日にあった基本問題検討委員会で取り上げられ、今後は小委員会を設けて話し合っていくという。何らかの施策を打ち出せるのか、それとも問題点を話し合うだけなのか、注視したいところだ。

 高体連の加盟32競技は、高校野球のように、特待制度を禁止しているわけではない。高体連側は「特待制度を全面否定するのではなく、行き過ぎがないよう、どの程度まで認めるかの線引きを検討していく」などと説明している。日本高校野球連盟と同様、「行き過ぎ」を警戒しているようだ。

 高校野球との違いが今回は大きくクローズアップされた。高野連は「高校野球は教育の一環」との立場で金銭的利益を得ることになる特待制度を禁止しているが、高体連はどうなのか。そこを調べてみると、根本的にさほど違いのないことが分かってくる。

 高体連の「競技者および指導者規程」は、その第1章の「総則」の中で次のように謳っている。

 「(目的) 第1条 高等学校における体育・スポーツ活動は、学校教育の一環
として行われるものであり、その活動はアマチュア・スポーツマン精神に則り実施されなければならない」

 高体連スポーツもやはり教育の一環であり、アマチュアスポーツという位置づけだ。第3条では「競技者のあり方」として、「スポーツ活動を行うことによって、物質的な利益を自ら受けない」「スポーツ活動によって得た名声を、自ら利用しない」を挙げており、続く第4条では、金品の授受を禁止している。その条文は以下の通りだ。

 「(競技者の禁止事項) 第4条 (1) 大会参加により授与される賞金、高価な商品を受領すること。 (2) 企業等から入社契約もしくはこれに準ずるものの前渡しや、金品の支給、貸与等の物質的利益を受けること。 (3) 各種大会に参加するための旅費その他の経費を、当該校関係又は大会主催者以外から受領すること。 (4) 自分の氏名、写真、競技実績を広告等に使用すること。ただし、本連盟が認めた場合を除く」

 これらを読むと、日本学生野球憲章とほとんど変わりはない。

 05年3月、高体連はプロ的な活動をしている卓球の福原愛(当時青森山田高1年)の高校総体参加を「特例」として認めた。福原の全国的人気と高校総体の活性化を考慮した結果の判断だったが、プロとアマの境界線が高校でも曖昧になっていることが明らかになった象徴的な事例ともいえる。

 今回、高体連は高校スポーツをどうとらえるのか。福原の特例と同じく、物質的な利益を得る特待生も認めるとなれば、競技者規程を見直すべきだろう。しかし、あくまで「教育の一環」「アマチュア」を堅持するのであれば、特待制度にもしっかりとしたルールを作らなければならない。

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