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vol.467-3(2009年11月11日発行)
松原 明 /東京中日スポーツ報道部
守備こそ王座への道

 ヤンキースはフィリーズを4勝2敗で破り、7年ぶりの大リーグ王座に着いた。年間103勝した抜群の破壊力がクローズアップされているが、その優勝へ導く大きな力は守備力にあった、と分析する。特に大きな要因は、FA・マーク・ティシエラ一塁手の獲得だった。エンゼルスからFAになったとき、他の球団は年俸条件が高いため手を出さず見送っていた。

 しかし、ヤンキースは8年契約、総額1億8000万j(約162億円)の破格の提示で入団させた。その巨額投資が生きたことを証明したのが、ワールドシリーズ優勝だった。10日発表された、MLBゴールド・グラブ賞を、ティシエラは、ジター遊撃手とともに受賞した。ジターは4回目、ティシエラは3回目の受賞である。これは、各球団監督、コーチの投票で決まる。現場で闘ってきた首脳陣の評価だから確かである。「守備は打撃より評価されないが、私はいかに守りが大事かを1年間、実践してきたことを認められてうれしい。ミスをしない、未然に失点を防ぐことが、勝利への道だと信じている」と、ティシエラは語っている。「内野の守備を安心して見ていることが出来るのは非常に大事だった。彼が一塁でミス送球を防ぎ、チェンジになるはずが、失点に拡大するピンチをカバーしてくれたのは感謝している」と、ジョー・ジラルディ監督は、ティシエラを全面的に信頼している。

 デレク・ジター主将も、ティシエラもともに年間、4エラーしかしていない。ワールド・シリーズ6試合で内野手のエラーは1個(A・ロドリゲス三塁手の悪投。これも失点せず)しかない。特に第2戦の8回表、1、2塁で3番・アトレーを二塁ゴロ・併殺にした、流れるような動きは失点を防いだ。もし、併殺できなければ、走者1、3塁で4番のハワード。3−1の勝利は逆転される危険もあったのだ。「彼はコンプリート選手。しまった、と思う送球でも、苦もなくさばいてくれる。守備範囲は広いし、彼の素晴らしい守りは本当に助かった」と、ジターも、ロビンソン・カノー二塁手も証言している。

 ティシエラはポスト・シーズン、打率・1割8分と打てず、批判する人もいたが、昨年のジオンビー一塁手が、守備範囲も狭くミスも多かったのを思うと、ジオンビーを放出しティシエラ獲得を決断した、ヤンキース・フロントの勝利だった。

 王座復帰のヤンキースが本塁打(年間最多の244本塁打)だけのチームではないことを、ジターとともにティシエラのゴールドグラブ賞受賞が証明した。

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