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vol.441-2(2009年3月27日発行)
大島 裕史 /ジャーナリスト

日韓野球―さらに高め合うライバル関係に

 大会中5度目の日韓対決となった第2回WBCの決勝戦は、野球の面白さを改めて実感させる熱戦であった。今大会で日本と韓国の強さは、抜きんでていた。

 もっとも野球発祥の地・アメリカにしてみれば、シーズン前の調整段階であり、アジア野球の実力をどれほど認めたかは、疑問である。しかしこの大会での日韓両国の戦いぶりは、アジアの野球が世界トップクラスであることを示す、大きな一歩になったことは間違いない。

 日本野球がアメリカに向ける尊敬と憧れの眼差しは、韓国野球が日本に向けるそれとよく似ている。

 実際韓国の金寅植監督は、実業団野球の選手時代、監督は京都商業出身の姜大中という人物であり、チームメイトにも、南海や社会人野球のヤシカ出身など日本出身者が多く、日本の野球をよく知っている。WBCの会見でも、常に日本野球に対する敬意を示し続けた。

 その一方日本では、長い間韓国野球への関心は低かった。韓国が初めて日本に勝ったのは、1963年にソウルで開催された第5回アジア野球選手権(アマチュア)の時である。

 ただ当時の日本球界は、都市対抗野球など国内の大会が最優先であり、敗戦もさほど気にしていなかった。しかし、韓国ではこの勝利をきっかけに野球ブームが起こり、実業団野球のフルシーズン制が始まるなど、発展の足掛かりをつかんだ。

 1982年にソウルで開催された第27回世界アマチュア野球選手権決勝の日韓戦で、韓国が逆転勝ちして優勝したことも、この年始まったプロ野球が盛り上がる要因になった。

 1991、95、99年の3回行われたプロ野球の日韓スーパーゲームも、日本はベストメンバーを組むことはなかったが、韓国は事前に強化合宿をしてまで臨み、善戦していく中で、力を付けていった。

 そして今世紀に入り、日韓は真剣勝負の時代に入った。まだ選手層の厚さなどで日本が一枚上であるが、韓国の実力はもはや疑いようがない。そうなるまでに、韓国の日本戦初勝利から、40年以上の歳月が流れていた。

 次は、日本と韓国がアジアの野球のレベルを、世界に示す番である。それには、今回のようにレベルの高い熱戦を、今後も続けていく必要がある。そのためにも、他のスポーツにもあるように、野球でも日韓戦を定期戦化するのはどうだろうか。

 問題は時期である。私は、オールスター戦の代わりにやるのがいいと思う。セ・パ交流戦の導入で、オールスター戦ならではの対決の楽しみはなくなった。1リーグ制の韓国に至っては、強引に東西に分けて行っているが、勝負の面白さは最初からない。サッカーでも昨年から、JリーグとKリーグオールスター対決を始めている。野球でも、十分検討の価値はあると思うが、如何だろうか。

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