スポーツネットワーク
topページへ
スポーツバンクへ
オリジナルコラムへ
vol.781-1(2019年10月3日発行)
岡 邦行 /ルポライター

原発禍!「フクシマ」ルポ107

 もうすぐ第4次安倍内閣発足から1ヵ月が経つが、そもそもこの内閣はスタート時から最悪だった。9月9日の台風15号の影響で千葉県は停電で喘いでいたが、東電は当然のごとく安倍政権も何もしなかった。2日後の11日に向けての内閣改造で頭ん中がいっぱいだったからだ。
で、第4次安倍内閣は発足。人気取りと反安倍議員を懐柔するためだろう。原発ゼロを訴える元首相・小泉純一郎を父に持つ、小泉進次郎を環境相に抜てきした。だが、前回同様に私を最も驚かせたのは、外務相から防衛相に就いた河野太郎だった。
 河野太郎。最近の政治家でこの人ほど信用できないと思うのは、私だけではないはずだ。6年以上にわたり首相の安倍が政権を牛耳る弊害といわれようと、まさに政治屋ではないか!
 8年7ヵ月前、福島第1原発事故発生当時の自民党議員の河野太郎は、「反核燃料リサイクル」を掲げ、原発推進に大反対。原発知識に無知な自民党を中心とする国会議員をあざ笑い、とくに東電副社長から参議院議員になった原発推進派の加納時男を名指しで批判していた。さらに3・11から1年後の2012年3月には、自ら共同代表になり、超党派で「原発ゼロの会」を立ち上げたのだ。
 その河野太郎、今や原発を推進する安倍政権にべったりだ。「河野太郎反原発動画」とネットで検索すれば、正義漢面して原発ゼロを訴える河野太郎の姿を拝むことができる。いかにポリシーのない、いい加減な政治家であるかがわかるというものだ。

 3・11後、家族とともに故郷・南相馬市を離れ、新潟の長岡市、神奈川の横浜市、川崎市での避難生活を余儀なくされ、現在は福島市で生活する元高校教師の山崎健一さん。前々回の号から記述しているように私は、8月半ばに福島市で会っている。
 だが、初めて私が山崎さんを前にしたのは4年前の2015年10月18日。故郷の南相馬で会っていたのだ。
 この日の午後、山崎さんが事務局長を務める「はらまち九条の会」は、総会とともに講演会を開いた。演題は『鈴木安蔵先生はどのように憲法草案を作成したか』であり、講演したのは立正大名誉教授で法学者の金子勝さんだった。
 1904(明治37)年に南相馬市(小高区)生まれの憲法学者の鈴木安蔵。実は敗戦直後の1945(昭和20)年12月だ。民間の「憲法研究会」の中心メンバーとしてまとめた『憲法草案要綱』を発表。首相官邸とGHQ(連合国軍総司令部)にも提出し、新憲法草案にも影響を与えたと伝えられる。
 国民ハ健康ニシテ文化的水準ノ生活ヲ営ム権利ヲ有ス
 鈴木安蔵たちの憲法研究会が作成した草案には、以上の言葉が明記され、現在の憲法二九条に生かされている。
 83(昭和58)年に享年80で鈴木安蔵は、泉下の人となっているが、その存在を多くの人たちにアピールしているのが「はらまち九条の会」だ。
「安蔵が草案した憲法が生誕の地で守られていない。憲法を守ろうとしない人たちに、新たな憲法をつくる資格はないはずです」
 事務局長の山崎さんは、強い口調で言った。改憲を口走る安倍政権、この言葉をどう受け止める―。

筆者プロフィール
岡氏バックナンバー

SAバックナンバーリスト
ページトップへ
          
無料購読お申し込み

advantage
adavan登録はこちら
メール配信先の変更
(登録アドレスを明記)
ご意見・ご要望

Copyright (C) 2004 Sports Design Institute All Right Reserved
本サイトに掲載の記事・写真・イラストレーションの無断転載を禁じます。  →ご利用条件