第33回ミズノスポーツライター賞
 

第33回ミズノスポーツライター賞発表(2023年3月7日)

2022年度 第33回 ミズノスポーツライター賞 受賞作品
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「2022年度 ミズノ スポーツライター賞」受賞者決定

 公益財団法人ミズノスポーツ振興財団では、1990年度から「ミズノ スポーツライター賞」を制定しており、2022年度で33回目を迎えます。この賞は、スポーツに関する報道・評論およびノンフィクション等を対象として、優秀な作品とその著者を顕彰するとともに、スポーツ文化の発展とスポーツ界の飛躍を期待し、これからの若手スポーツライターの励みになる事を願い制定したものです。
3月7日(火)、グランドプリンスホテル高輪で選考委員会を開催し、受賞作品および受賞者を以下の通り決定いたしました。
なお、この「ミズノ スポーツライター賞」の表彰式は、4月20日(木)にグランドプリンスホテル新高輪で行います。

■最優秀賞 (トロフィー、副賞100万円)

 『若きアスリートへの手紙 ―<競技する身体〉の哲学』

 若きアスリートへの手紙―“競技する身体”の哲学
  町田 樹(まちだ たつき)(発行:山と溪谷社)

【 受賞者及び選考理由 】
 ●『若きアスリートへの手紙 ―<競技する身体〉の哲学』 (山と溪谷社)
町田 樹(まちだ たつき)

 本書は、2014年にフィギュアスケートを引退し研究者としてセカンドキャリアをスタートさせた町田樹氏の著作で、2部で構成されている。第1部は「すべてのアスリートへ」と題して、第2部は「アーティスィックスポーツのアスリートへ」と題して、通常なら「章」と表示するところを本のタイトルの手紙になぞらえて「信」に置き換え、合計22信(第1部11信、第2部10信プラス追伸)が収められている。本文だけで460ページ超の大作は、選手時代に町田氏が経験したことや直面した課題、そして引退後に気づいたことを解説する内容となっている。そこには著者の知的刺激に満ちた文章運びのうまさ、バラエティに富むトピックやテーマを取り上げる視野の広さ、科学的かつ論理的な思考、読者をひきつける話題提示や例示に象徴される多分野への造詣の深さが存分に発揮されている。
出版不況が叫ばれるなか、一般書としては異例の厚さとなる本を刊行した出版社の寛容、そして「追伸」で著者も回想するように、毎回懇切丁寧な赤が入れられ感想が付されたという編集者の並々ならぬ思い入れと伴走があって送り出された本書は、今年度出色の作品といえよう。
「一瞬のうちに天国が地獄になる」競技の世界で、「輝かしい成功体験に一歩でも早く到達」するヒントになるかもしれないという思いで書き始めた手紙は、学術エッセイとはいいながらも、若いアスリート以外の一般人にも示唆に富む一冊となった。従来のアスリートのエッセイや評論を凌駕する水準にあるだけでなく、スポーツをテーマにした新次元の「エンターテインメント」になっていると評価し、「スポーツライター」の定義を書き換える新しい書き手の登場を拍手で迎えたい。

  

■優秀賞 (トロフィー、副賞各50万円)

 『武元前川物語』

  京都新聞社 運動部 後藤 創平(ごとう そうへい)(発行:京都新聞社)

【 受賞者及び選考理由 】
●『武元前川物語』 (京都新聞社)
京都新聞社 運動部 後藤 創平(ごとう そうへい)

 京都新聞は夕刊で2020年10月から2022年4月、足掛け3年をかけて南京都高校ボクシング部の監督を務めた故武元前川氏の評伝を連載した。掲載回数100回に及ぶ力作である。記事は加筆修正され、『遺されたもの ~南京都高校ボクシング部の物語~』(ブレーンセンター)のタイトルで単行本として出版されている(2022年10月)。
連載は5部に分かれ、第1部が2020年10月28日から11月16日まで16回。第2部は「夢に描いた五輪」の見出しで2021年2月1日から26日まで21回。第3部は「願った「立派な社会人に」」として5月7日から29日まで20回。第4部は「プロの世界へ」と題して9月15日から10月14日まで24回。そして最終の第5部が2022年に入って「最後のとき」として3月28日から4月19日まで19回掲載された。
統制のとれた記事で、読み進めるにつれすがすがしさを覚えた。各部の初回には趣旨と掲載回数が示され、成り行きで回を重ねているのではないことが明らかだ。取材は行き届いているし、教え子の言葉を通じて武元前川という教育者の人物像を立体的に描くことに成功したといえるだろう。毎回1枚添えられる記事内容に即した写真も適切に選ばれていて、効果的だ。新聞連載は数名の記者がチームを組み手分けして進めることが多い。しかし、本企画は100回、3年という長期連載にもかかわらず後藤創平記者が一人で最後まで書き上げ、単行本にまで仕上げた。その点においてもライター賞の授賞候補作として十分推薦に値する新聞連載企画である。

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主催:公益財団法人 ミズノスポーツ振興財団 
選考:ミズノ スポーツライター賞選考委員会

[制定目的]
 スポーツに関する優秀な作品とその著者(個人またはグループ)を顕彰し、 スポーツ文化の発展とスポーツ界の飛躍を期待するとともに、これからの若手スポーツライターの励みになる事を願い制定

[対象領域]
 【2022年1月1日~12月31日】に発行・出版・発表されたもので、主として新聞・雑誌・単行本等に掲載された個人もしくはグループで書かれたスポーツ報道、スポーツ評論、スポーツノンフィクション、など。ただし、インターネット上のウエブサイトなどで発表されたもの、社内報や広報誌等一般に販売されていないもの、一般の者が入手不可能な機関誌的なもの、翻訳書や専門学術書・誌、研究紀要等に掲載されたいわゆる学術論文はこの対象からは除く。

[表彰内容]
★最優秀作品 1本 (トロフィー / 賞金100万円)
☆優秀作品  2本 (トロフィー / 賞金 50万円)

[選考委員]

委員長河野 通和(株)ほぼ日「ほぼ日の学校長」、『中央公論』『婦人公論』『考える人』元編集長
委 員上治 丈太郎(一社)日本スポーツツーリズム推進機構 理事
 杉山 茂スポーツプロデューサー/元NHKスポーツ報道センター長
 ヨーコ 
ゼッタ-ランド
スポーツキャスター
 長田 渚左ノンフィクション作家
 水野 英人(公財)ミズノスポーツ振興財団副会長

※敬称略・順不動

【お問い合せ先】
「ミズノ スポーツライター賞」選考事務局
〒151-0053 東京都渋谷区代々木2-16-15 代々木フラット401 スポーツデザイン研究所
TEL:03(3377)4858 / FAX:03(3377)5028
お問合せ:こちら

過去の受賞記録
公益財団法人 ミズノスポーツ振興財団 のミズノスポーツライター賞サイトをご覧ください

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