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2006トリノ冬季パラリンピック競技大会 車椅子カーリング ピネロロ
(C)photo kishimoto

2006トリノ冬季
パラリンピック競技大会
車椅子カーリング
ピネロロ

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2006トリノ・パラリンピック特集H(2006年3月18日トリノ発)
角田 麻子/スポーツライター

白熱の車椅子カーリング・決勝戦! 
カナダが初代チャンピオンに

            


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白熱の車椅子カーリング・決勝戦! 
カナダが初代チャンピオンに

(角田 麻子/スポーツライター)

 レベルにバラつきのある予選を見て、車椅子カーリングを「おはじき」と評したのは間違いだった。最高峰の「車椅子カーリング」の試合が、目の前で繰り広げられた。冬季パラリンピック初登場の種目「車椅子カーリング」の決勝戦・イギリス対カナダは、最高の技の競い合いであり、また、「氷上のチェス」と言われるように戦略と頭脳の戦いで、お互い一歩も譲らない息詰まる白熱の攻防となった。

 第1エンドはカナダが2点を先取。第2エンドは、「ハウス」と呼ばれる円の中心に留めたイギリスの3個のストーンをカナダが一投ですべてはじき出すも、再びイギリスがしっかり狙って3点を奪う。第3エンドはカナダに失投が続き、イギリスが着実にハウスの中心にストーンを置くも、イギリスチームのストーンをはじき出したカナダの最後の一投が中心に残ったため1点獲得して3対3に。

 第4エンドは両者共に決め手を欠きつつ、カナダが円の中心にストーンを置けばすぐさまイギリスがはじき出すというせめぎあいが続き、イギリスの1点リードで終えた。そして迎えた第5エンド。どちらも譲らず、両チームの選手が投げるストーンは、みごとに円の中心の赤いラインに吸い寄せられる。一投の失敗も許されない緊迫した展開の中、両者ともストーンにわずかな回転をかけながら他のストーンの間をすり抜け、円の中心のわずかなスペースにぴたりと寄せる様子に、観客席からは驚きと称賛の声が上がった。見ているほうも痺れるような緊張感の中、結局このエンドはカナダ選手のストーンが決め手となって、カナダに3点が追加された。

 そして最終第6エンドで、カナダはリードしている2点を守りに入る作戦に。イギリスもしぶとく攻めの姿勢を貫くものの、最後は自分たちのストーンをはじき出してしまい、カナダにさらに1点が追加。トータル7対4で、ついにカナダが優勝をもぎ取った。ガッツポーズをするカナダの選手たちと、どよめく会場のあちこちで振りかざされるメープルリーフのカナダ国旗。世界ランク4位のカナダが、強豪・スコットランドを擁する1位のイギリスをおさえ、記念すべきパラリンピック・車椅子カーリング初代チャンピオンに決まった瞬間だった。

 優勝が決まり、いつまでも涙が止まらなかったのは、カナダスタッフ・用具担当のトレバー・ケリーさん。選手が使うスティックを抱きしめながら、選手以上に涙を流していたその姿からは、裏方として影で選手をバックアップする人たちの選手以上の万感な思いが伝わってきた。オリンピックでもパラリンピックでも、すべてのスポーツは、フィールドに立つ選手だけでは成り立たない。影で支えてくれる人たちへの感謝の思いが、選手により力を与えてくれるのかもしれない。


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