ワールドカップ映像をパソコンで見ることのできる日がついに来る。
ドイツ大会日本代表決定に沸いた5月15日、スカイパーフェクト・コミュニケーションズ(スカパー、東京)が発表したもので、試合時間すべての中継(ナマ)が配信されるわけではないが、1試合最大4分間の動画を"速報"の形で送り出すという。無料の予定だ。
携帯電話向けに最大20秒間のハイライト映像なども提供される。
いつまでも、スポーツ中継の動画がテレビの1人舞台で過ぎるわけではないと言われてきたが、その風が、予想より速く吹き込んだとも言えよう。
すでに、今年の大会開催地ドイツでは携帯電話による配信を「ハンディテレビ」の名で行うことが決定しており、新時代を告げている。
パソコンへの動画配信は、大量高速伝送の技術革新によって、多くのスポーツイベントが乗り出しているが、オリンピックやワールドカップなどスーパーイベントでは、テレビの放映権料もからみ、実現が遅れていたものだ。
内外ともに、ワールドカップで関心が高まれば、テレビスポーツは、改めて、この新しいライバルを意識することになる。
パソコンでワールドカップを楽しむ、となれば、テレビよりいっそう視聴側の単位は細かくなり「個」に近くなる。
スポーツを楽しむというより、情報を得るといった範囲に当面は留まりそうだが、マーケットとして拡充されれば、明らかにテレビのライバルとなろう。
「個」とは対照的に、今大会も各地でパブリックビューイングが企画されている。
スタジアムまで来て、札止めで入場できなかった人へ大型スクリーンで試合の様子を伝えるためのサービスだったが、日本では、2002年大会からイベント化している。
1998年のフランス大会時には、代表チームのレプリカをまとったサポーターが、新宿などへ続々と集まり声援を送った風景は、それまでの日本にあまり無いものだった。
スポーツは、現場(試合場)で観るのが、快い。メディアが振り向かないような大会でも"その場"には、いくつもの魅力があふれている。
ところが、大規模なイベントは、チケットの入手が難しくなる。
それをカバーしてきたのがテレビだが、新年(あらて)としてパソコン配信やパブリックビューイングが加わる。"観戦の手段"はさまざまになった。
この面で、どのようなワールドカップになるのか。今後のオリンピックなどを含めての触れかたを探るうえで興味深い―。
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