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vol.308-3(2006年 7月 5日発行)
杉山 茂 /スポーツプロデューサー
精彩が戻らぬチームスポーツ

 杉山愛(テニス)、醍醐直幸(陸上競技、男子走り高跳び)・・・。大きな活字が躍るのは相変らず個人系競技ばかりだ。

 サッカーが倒れてしまったこともあり、チームスポーツは、よけい寂しい。

 来月に日本で世界選手権を開く男子バスケットボールの海外転戦も、わくわくさせるような結果が伝わってこないし、北京オリンピック予選の前哨戦とみられた女子ハンドボールのアジア選手権の成績もパッとしない。ラグビーは冴えぬまま“春のシーズン”を終えてしまった。

 チームスポーツの低調は、「実業団」と呼ばれる企業チームの活動縮小が、確実に影響している。

 支援型だの、地域密着型だのと、新たな路線を探し出すものの、長い年月、時に大学、時に企業にすがり、ジュニア対策は高校や中学の“教育現場”に頼ったツケは、簡単には払い切れない。

 日本じゅうを巻きこむまでに成長したサッカーでさえ、改めて世界を見渡せば「大人と子供の差」と川淵三郎キャプテン自らが認めざるを得ないレベルだ。ほかのスポーツは、なおさら、ではないか。

 この深刻さをなんとか打開しようと、チームスポーツが集合し、昨年「日本トップリーグ機構」を立ち上げたものの、再起・復活への道は遠く、険しく、細そうである。

 サッカーも、4年後に向けてたくましいステップを切り直すならば、選手のレベルをとやかく言う前に、協会−リーグ−クラブの徹底した理念の共有を欠かせない。

 トップリーグ総てに、これは言えることだ。

 加盟する企業に入場券を購入してもらい、リーグの体裁を辛うじて保つ状況から脱しなければ、強いニッポンは生まれない。

 世界選手権のたびに日本代表の力量より、テレビ局が手配するであろう人気タレントの“人選”に話題が集中、先行していては、スポーツそのものへの熱狂など、とうてい地につかない。

 2016年の夏季オリンピックの招致に名乗りをあげた福岡市と東京都の競技会場予定地を、各スポーツ団体が、視察に廻りはじめたが、現代のオリンピック施設(スポーツ施設)は何を求められ、何を備えなければならないか。スポーツ側が積極的な姿勢を示し、招致ムードの一役を荷うぐらいの意気を上げられるだろうか。

 スポーツ界の依存体質が、脱け切れるかどうかがカギだ。

 日本オリンピック委員会は、6月27日の理事会で「2016年」を見据え、今冬12月、ドーハ(カタール)・アジア大会にどっと繰りこむことを決めた(全39競技・633選手)。チームスポーツにとって、改めて真価を問われる大会になるのではないか―。

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