2010年のバンクーバー(カナダ)冬季オリンピックと12年ロンドンオリンピック、さらに14年冬季、16年(いずれも開催地未定)まで4大会の韓国々内放送権を民放局・SBS(Seoul
Broadcasting System、ソウル放送)が手中にした(国際オリンピック委員会(IOC)8月2日付プレスリリース)。 韓国のオリンピックやFIFAワールドカップの放送権は、これまで日本と同様、国内の放送局が連合を組んで契約にあたってきた(呼称は韓国が「コリアン・プール(KP)」、日本が「ジャパン・コンソーシアム(JC)」)。その線が乱れたのである。 通常はJCがさきに契約をまとめ、そのあとKPという順だったが、今回はJCの態勢が整わず、KPが先行する、とされていた。 KPとIOCの交渉がもつれ、そのあとオープンとなってSBSが“独占”をはたしたものか、詳細に不明な点はあるが、注目すべき動きだ。 韓国放送界は、政府出資の放送公社・KBS(韓国放送公社)と、主な財源を広告収入とする財団法人のMBC(文化放送)が主軸で、SBSは1991年に開局、ようやく15年目を迎えた商業テレビネットワークである。 3社とも、スポーツ放送に力を入れ、並列で中継を競いあうようなイベントも少なくなかったが、オリンピックでのプールは、当分、続くと予想された。 SBSが一気に“独占”へ走ったのではなく、KP−IOC間が不調となり、3社個別の交渉の結果、壁が崩れたのではないだろうか。 放送権料は2010年と12年2大会合わせて3300万ドル(約38億円)、14年と16年大会合わせて3950万ドル(45億4250万円)と伝えられる。 14年冬季の開催地は来年7月のIOC総会(グアテマラ)で決まるが、最終候補3都市のなかに韓国・平昌市がある。 さらに16年は日本(福岡または東京)の立候補が確定的だ。14年冬季の情勢しだいでは韓国の都市が名乗りをあげる可能性もゼロではない。 SBSが、このあたりまでを読んでの行動とすれば、興味はいっそう深くなる。 これからの交渉本格化のJCにも少なからず影響があろう。 IOC筋は、かねがね“JC崩し”を狙っており、10年冬季と12年の2大会で2億5000万ドル(287億5000万円)以上の線で揺さぶるだろう。 トリノ冬季と北京の合計は2億1850万ドル(251億2750万円)。鉄壁といわれながらもJCの交渉しだいでは、韓国のような状況が生じないとは限らない。 話は変わるが、来シーズンから2011年までの「Jリーグテレビ放送権」は、CSのスカイパーフェクTV!が、全放送権料(年間約50億円=推定)の60%を受け持ち、これまでのNHK、TBSに代わって優先権を握ることが確定した(8月15日、Jリーグ理事会)。 放送権料の枠組みが、多くの局面で変動しはじめている―。 ※注)1ドル=115円換算 |