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vol.331-2(2006年12月13日発行)
杉山 茂 /スポーツプロデューサー
厳しい視線欠けるJリーグの「質」
   〜今年のスポーツを振り返るA〜

 Jリーグが発足(1993年5月)して以来、走りに走ってきた日本のサッカーが、改めて、その「質」を問われた年であった。FIFAワールドカップは“勢い”だけで突破できるような柔(やわ)なものではなかった。

 ワールドカップを開き、「サッカーくじ」が売り出され、本場ふうな地域を本拠とした全国リーグが1、2部と揃い、すっかり“世界の仲間入り”したような気になったものの、このスポーツ、そう簡単、容易ではない。体裁だけではダメなのである。

 日本代表を率いていたジーコ氏は、そのあたりを一番よく識っていたし、日本の実力も分かっていただろう。

 オシム氏も、充分、気づいているハズだ。埋めようもない歴史の差が、日本と“本場”の間には横たわっている。

 どうするか。Jリーグの「質」を総ての面で高め直さなければ、アジアを代表して桧舞台に立ったところで“限界線”を踏み越えるのは、当分、難しかろう。

 Jリーグの「質」とは、多くの試合にのぞく攻防両面での甘さだ、厳しさの不足だ。

 正すのはメディア以外にはない。プロ・ベースボールを取り巻いている状況よりは、鋭い視線が多そうだが、ファンに満足なサッカーを提供しているかの問いかけが、年々鈍くなってはいないか。

 テレビの解説も、もっと戦術的、技術的であっていい。それを消化するだけの年月が経ち、視聴側のレベルは上っていると思っていい。

 来年からは、有料契約放送のスカイパーフェクTV!が多くの中継を手がける。目の肥えた人たちが集まるしこの面での期待は大きい。

 「J1」の今年の1試合平均入場者数は前年比マイナス473人(12月12日発表)。騒ぎたてるほどの数字ではないとしても、ファンの目はストレートだ。

 日本のサッカーの“運”は、まだ充分に残っている。

 FIFA(国際サッカー連盟)が、2010年南アフリカ大会のアジア大陸枠を、今年と同数の4.5に据えおいてくれたのは、その典型だ(12月5日)。

 このチャンスを活かすのは、Jリーグの動きを世界の標準で測ることではないか。

 満足度を来年以降に持ちこした1年である―。

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