「1試合にはできない。機構の運営を支えられないから」と、2試合ではなく、メジャーのように1試合に、という日本選手会の願いに対する、日本プロ野球機構側の見解が分かった。
今年も、東京ドームと仙台の2試合。メジャーはサンフランシスコの1試合。この大会期間は、日米ともほぼ同じなのに、収益が出ないというのは、根本的に、運営の考え方が違うからなのだ。
メジャーでも、かつては年間2試合制度のとき(1959、60年の2回)があったが、運営のすべてを自前でやっていた機構が、この10年余、地元球団、開催都市に権限を移譲。すべてのイベントに、冠スポンサーを付けて経費を捻出。金曜日から、試合日の火曜日まで、イベントをつぎ込み、ファンを満足させるオールスターへ、と進展した。
この「オールスター・ウィーク」の大会方式は、NFLの「スーパーボウル・ウィーク」を手本に改良。いまや、スーパーボウル・イベントをしのぐ、賑わいを見せている。
広大なコンベンション・センターを借り切り「ファン・フェスト」を開催。毎年5日間で、10万人を超える動員。今年、サンフランシスコ・コンベンション・センター西館では、12万5000人を動員する新記録だった。大人22j(約2620円)のチケットだから、チケット収入だけで、2億6000万円にもなる。
連日のイベントは、毎日入れ替え、スターOBを総動員。日曜日の「マイナー選手球宴」は、最高125j(約1万5000円)。月曜日の「ホームラン・コンテスト」は225j(約2万7000円)。
試合当日は、最高285j(約3万4000円)と、小刻みに値上げして、「どの日でも選んで下さい」というPRで、サンフランシスコは連日満員だった。これには、全部テレビ放映が付属する。機構は、1年以上掛けた綿密な設営が終われば、自然に、経費をはるかに上回る収益が入る仕掛けだ。
「地方のファンに見せないと」と、各地分散開催の日本のオールスターでは、運営経費が掛かりすぎる。黒字どころではない。
機構が、セ、パを吸収。3者一体になって、ビジネス運営に全力投球する時代が来ない限り、日本プロ野球の前進はない。
メジャー機構は、テレビ、新聞、ラジオを総動員して、すでに10月のプレーオフ・キャンペーンを始めた。ファンの関心を集め、一気に盛り上げよう、としている。これも、今年初めての試みだ。
来年は、ヤンキー・スタジアム最後の年の開催。2年後はセントルイスの新球場。地元球団は、1年前から、動員作戦を練るように依頼され、早くも準備を始めている。
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