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vol.363-1(2007年7月31日発行)
松原 明 /東京中日スポーツ報道部
東南アジアを軽視するな

 3連覇を目標に参加した、サッカー・アジアカップで、日本は準決勝で敗れ、3位決定戦でも韓国を崩せず4位に転落。次回アジア杯大会は予選から出場となった。

 さらに、各大陸優勝国が参加できる2009年の南アフリカ・コンフェデレーション大会にも参加できなくなる、というピンチに陥った。

 今大会の日本はこれまでと違って、各国の目標になり、日本のサッカーは研究されてきたことが明確になった。完全に「追われる立場」に立たされたのだ。しかし目標になるほど、超大国になったわけではないのに、メディアやサッカー協会は「アジアなら」と、慢心していた傾向がうかがえる。

 中東勢は「東アジアに負けるな」と全力を傾けてきた。今回のアジアカップで打倒日本、韓国の結果を残したことは、2010年W杯予選へ大きな警鐘となるに違いない。

 さらに、東南アジア4か国の頑張りを見逃してはならないだろう。
決勝トーナメントに残ったのはベトナム1か国に過ぎないが、インドネシアも韓国と0ー1の接戦。彼ら、若手選手の躍動感は目を見張るものがあった。

 戦後すぐの日本が東南アジア最大の大会「ムルデカ杯」に出場したとき、まるで歯が立たず敗退した歴史のことを思えば、国際大会に自信を付けてきた彼らに、将来、再び脅かされる日が来るのではあるまいか。

 東南アジアFIFA加盟国のサッカー指導に協力してきたのは、日本サッカー協会の国際委員会である。同委員会の藤田一郎委員は、20年余、東南アジア全ての国を巡廻し、協会組織作り、練習方法、グラウンドの準備、用具のあっせんなど、細かく手を貸してきた。また、希望国には、日本最大のサッカー・トレーニングセンター「Jヴィウィレジ」へ招待し、キヤンプのあり方を丁寧に指導した。

 現在も東南アジア諸国から「日本に行って学びたい」との希望は殺到している。順番待ちが出るほど、導いてくれた日本への信頼は厚い。

 藤田氏は、こう話した。

 「私たちは彼らの道を開くためにあらゆる指導をし、アドバイスしてきました。今、撒いた種は確実に花開こうとしています。恩義に感じた彼らは日本を支持し、FIFA理事に小倉純二氏が再選されたのも、東南アジア諸国一致の支持があったからなのです」

 「そうなれば、今度は彼らの目標は自然に“日本に追いつけ、追い越せ”になって行きます。将来、東南アジア諸国は楽しみな存在になるでしょう。」
女子サッカーもタイ、ベトナムは、急速に力を付けU−19の選手が中心でとなり、日本、韓国とも互角に戦えるチームに育ってきた。

 アジア全体の目標にされている日本。

 危機感を肌で感じ、さらなる努力を続けないと、近い将来、男女ともアジア代表さえ失うのではないか、という警告を受けた今大会だった。

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