メジャー・リーグは、今季、ポスト・シーズンの日程を大幅に変えた。これまで、土曜日開幕、日曜日閉幕だったワールド・シリーズの日程をずらし、水曜日のウィークデー開幕に変更。5試合制度の地区シリーズも、水曜日開幕、移動日を2日はさむ緩やかな日程にした。地区シリーズの勝者が対決する7回戦制度のリーグ・シリーズも、木曜日開幕、移動日2日の他に、初めて休養日(雨天予備日)を1日入れた。この結果、ワールド・シリーズの最終日は、初めて11月にずれ込む日程になった。
メジャー機構は、1年がかりで完成した再編成日程は「テレビ視聴者に、ベストの番組を見て頂くため」と公式見解を発表しているが、その裏には「フットボール・シーズンとの対立をなるべく避ける」戦略があるようだ。
昨年までのワールド・シリーズは、土曜日のカレッジ、日曜日のNFLと、最盛況のフットボール開催と2回重なるため、どうしても野球は勝てなかった。今年度の日程は、これが1回に減り、@A、EF戦のウィークデー単独開催で、野球人気を盛り返す狙いがある。
プレーオフ制度がなかった戦前は、公式戦終了と同時にワールド・シリーズに入り、常にウィークデー開幕だった。球団拡張、地区制度拡大に伴い、2つのプレーオフを挟んでワールド・シリーズになった近年、出場球団から過密日程への不満が高まったため、改革に踏み切ったこともある。今年度は、16日あったフットボールとの開催日競合が、11日に減った。
今年、初めて地区シリーズのテレビ放映を担当したTBSは、「視聴率は、予想以上の上昇だった」と、調査の結果に満足している。地区シリーズは、1日3試合を放映し、各試合の時間差をデーゲームからナイターまで、3時間ずつとる編成にしたのも成功だった。「2007年は、近来にない競り合いのシーズン。勝率7割の独走チームもなく、3割の不振もない、激しい1年だったのも成功の土台になる」と、バド・シリグ・コミッショナーも自描自賛している。
だが、せっかくの苦心の日程も、頼みのヤンキースも、またも地区シリーズで脱落。全国人気の球団が、レッドソックスだけになったのは皮肉だ。他の3地区の進出チームは、みんな予想外のミラクル・チーム。特にナ・リーグは、史上初めて西球団同士の対決になった。それも、アウトサイダーのロッキーズとダイヤモンドバックス。これまでのTV放映の歴史では、野球視聴者の一番多い東地区は、西同士の対戦になると、ほとんど見向きもしない。2002年のワールド・シリーズ、エンゼルス対ジャイアンツのシリーズは好試合だったが、当時、最低の視聴率だったことでも証明している。機構関係者は「せめて、レッドソックスがワールド・シリーズに残って欲しい」と、天に祈る気持ちではあるまいか。
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