メジャー・リーグ機構は14日、「2008年は、愛唱歌“テイク・ミー・アウト・トゥー・ザ・ボールゲーム”の誕生100周年を記念して、この歌のコンテストを全米各地の球場で開催する」と発表した。7回のイニングの合間に、大人も子供も全員立ち上がって楽しそうに歌う、ホームチームへの激励の合唱が、自然に、わき起こる。アメリカの国技、野球をみんなで楽しむ瞬間なのだ。これがうらやましいくらい、どの州にもくまなく浸透しているアメリカ。
この歌の発祥は、1908年、作詞家のジャック・ノーワースさんが二ューヨークの地下鉄で、「ベースボール・トゥデー! ポロ・グラウンド」の表示を見た瞬間思いついた、と言われている。彼は、全く野球を見たことがなかったそうで、自分の作った歌が全米で最も歌われ、愛される歌になろうとは、予想もしなかったに違いない。
この歌を一気に爆発させたのは、ホワイトソックス、カブスの放送マンで野球殿堂入りしている、故ハリー・ケリーさん。彼は、放送席から身を乗り出して、マイクを握ったまま音頭を取る、ハリー・アレンジで演出したからファンは大喜び。ケリーさんの合唱を聞きたくて球場へ行くファンも増えた。
9・11のテロ事件のあと、まず7回が始まる前には、「ゴッド・ブレス・アメリカ」を唱和するようになったが、7回表終了後の「テイク・ミー」で球場のファンは一気に盛り上がるのである。
来年は、各球場でコンテストを行い、全米でお祭りにする。その優勝者は7月にヤンキー・スタジアムで行われる「オールスター・ゲーム」で音頭を取ることができる、という企画。こういう楽しい、みんなの気持ちがそろう盛り上がりが日本にはないのが残念だ。
日本的な合唱応援歌が、いつ出て来るだろうか。これだけ、野球が世界共通のスポーツになってきたいま、日本でも「よし、行くぞ」という歌が欲しいではないか。
ノーワースさんは、この歌の善し悪しが分からず、最初は夫人のノーラさんに歌わせてみて、改良し、そのコーラス部分が、今の「テイク・ミー」の原本になった。
これは、アメリカの球場で歌うのがぴったりだ。そのまま日本で歌っても、どうもいまひとつピンと来ない。太鼓、鐘、拍手だけのやかましい応援でなく、日本の野球場に合ういい歌が欲しい、と願っている。
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