高校サッカー選手権大会は、流通経済大付属柏高校が圧勝。王座に着いたが、過密日程をどうするのか、他の大会では例がない40分ハーフの試合でいいのか、問題点が多数あるのではないだろうか。
この選手権大会は、かって全国中学選手権だった当時西宮で観客もまばら、大会の運営も危ぶまれていたとき日本テレビが民放43社総動員で、首都圏開催、全国47都道府県参加(東京都だけ2校。48校)の大変革を決断。高校体育連盟とタイアップして、正月の一大行事に盛り上がることに成功した。
その歴史的使命は終わり、参加校を絞り、ゆとりがある日程に改革した方がいい、と私は思うのだが、どうだろうか。この選手権を見ていると、藤枝東高校は決勝に出るまで5試合、流通経済大付属柏高校は4試合。この1試合の差は大きい。例年、この日程で準決勝には力尽きてしまう高校も少なくない。藤枝が柏と同じ4試合で臨んでいたら、また、結果も違う形になったかもしれない。
高体連は準決勝は6日でなく、12日にしたかったが、全国大学ラグビー決勝が入り、国立が使えず実現しなかった、と残念がっていた。1、2回戦から準決勝まで休みは1日だけで5試合では体力は落ちる。5、6日と連戦の準決勝は明らかに動きが良くなかった。1週間の余裕を取った決勝は、見事なプレーを見せただけに、このきつい日程は惜しい。
女子でも45分ハーフの正規の試合で対戦しているのに、高校選手権だけ、例外の40分試合で行っているのは「放映時間の関係で短縮せざるを得ないから」と説明されているが、これでは、きちんとした試合をこなす習慣を身につけられず、この世代のプラスにはならないのではあるまいか。
「燃え尽き症候群」とは、高校サッカーで昔から言われてきたが、「国立へ出ればそれで満足」となるケースも、変わらない流れのようだ。セクシー・サッカー、と全国を騒がせた野洲高校のMF・乾も、マリノス入り以後、存在が消えてしまっている。過去、大会得点王になっても、その後、鳴かず飛ばずの選手も少なくない。代表へ進んだのは、国見高校の大久保、平山しかいない。
この世代の理想的な大会は、クラブ代表も参加し、地域予選を経て、16チームで争った高円宮杯全日本ユースだが、この大会も、何回も改革を重ねて現在の姿に定着し、クラブ10、高校6校が競いあい、流通経済大付属柏高校が王座に着いた。
選手権が「全国47都道府県参加」から、地域リーグ、本大会は16、または24チーム参加のワールドカップ方式へ変革されるかどうか? この疑問を、私は日本サッカー協会理事会後の会見で、田嶋専務理事へ投げかけたが「現状では難しい」と、手応えはなかった。
高校総合体育大会も、真夏の炎天下、休日は1日しかない強行軍。流通経済大付属柏高校・本田裕一郎監督は「45分ハーフの試合にし、リーグ戦方式の導入、試合も一日置きにして欲しい」と、再三訴えている。
高校生サッカーの健全な発展へ道が開ける日の来ることを願ってやまない。
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