8月2日、国立競技場で行われるJリーグ・オールスター・ゲームは、初の日本Jリーグ、韓国Kリーグ選抜の対戦になった。このところ途絶えている日韓対決が実現したのは喜ばしいことだが、何故か、ファン投票の選考がなくなってしまった。24日、行われた記者会見でも、明確な理由の説明がなかったのは、不思議でならない。 オールスター・ゲームは、他のプロスポーツも、ほとんど、ファン投票選出を土台にしている。オールスターの投票こそ、ファンとリーグを結ぶ唯一の接点だからだ。 今回は、昨年Jリーグ優勝の鹿島アントラーズ・オリビエラ監督が技術委員会の候補を元に選考する予定だが、それだけでいいのだろうか。ファンが1票を投じる夢が消えてしまったのは重大である。 近年、インターネット投票の増加で、組織票が増え、オールスターにふさわしくない特定の選手が当選してしまう弊害が広がる、というのも廃止の理由の一つだが、ファン投票をすべて除外してしまうとは、どういうことだろうか。1993年の発足から、Jリーグを支えてきたのは、サポーターであり、ファンだった。彼らの熱心な後押しがなければ、現在の発展はなかったに違いない。 会見のために来日した、韓国・金専務理事は「我が国はまだ、どういう選考をするかは何も決まっていないが、さて」と、首を傾げていた。 ファン投票を拡大し、全世界へと、票を増やしているのはメジャー・リーグ、MLBである。正規のオールスター・ファン投票以外に「30人(オールスターは通常の25人でなく30人ワク)目の選手を貴方が選んで下さい」と、ア、ナ両リーグから5人の候補を立て、1位当選選手をベンチ入りさせて、ファン投票の結果を尊重している。これだけでも投票した人々は満足するのではないだろうか。 近年、MLBは、ファン投票を広げ、「貴方の選ぶ賞」を続々新設。当選者には、オールスター、ワールドシリーズへの招待もプレゼントし、常に、ファンとの接触を盛り上げる努力を重ねている。オールスター投票は1850万票。今年は2000万を超す勢いになりそう。インターネット投票の拡大で、日本からも自由に参加できるし、投票は全世界へと広がっている。 大ベテランの中山(磐田)や、三浦和(横浜FC)がファン投票で出場してもいいのではないか。オールスターこそ、高度のプロのワザを見せ、勝負にこだわる公式戦とは、ひと味違うプレーを披露する場ではなかったか。 また、この日、鬼武チェアマンは「真剣勝負の場にしたい」と宣言。名前や顔ではなく、前期好成績を挙げた選手を選考する、という意向を示した。真剣勝負を目指すなら、何故、途絶えている日韓定期戦の代表対決復活、実現に力を注がないのだろうか。 ファン投票を盛り込む方法はいくらでもある。投票した人は自分の投票が実らなくても「参加した」だけで、ファンは夢が持てるのだ。いまからでも遅くはない。ファン投票は何らかの形で続けて欲しいものである。今や、世界へ広がってゆくグローバル戦略を確立したMLBに見習って欲しい。観客動員“イレブン・ミリオン”を大目標に掲げているJリーグは、片時もファンを無視してはならない。 |