スポーツネットワーク
topページへ
スポーツバンクへ
オリジナルコラムへ
vol.448-1(2009年5月12日発行)
今城力夫 /フォトジャーナリスト

「プレイが先か、マナーが先か」

 今朝の朝日新聞のスポーツ欄に目を通していたら、昨日女子ゴルフ・ワールドレディス選手権サロンパスカップで優勝した諸見里しのぶ選手が、最終ホールで福嶋晃子選手が打とうしているのにグリーンに向かって歩き出したので福島さんが“止まるよう”に制した、との記事があった。ゴルフでは同組の打球するプレイヤーより前に出たり視界に入る範囲内で動くことはマナー違反であることはよく知られている。

 諸見里さんは自分のプレイに夢中でうっかりミスだったのだろうが、米国の強豪ポーラ・クリーマー選手や優秀な韓国選手が参加するなか、折角国内メジャーの一つを射止めた勝利にケチがついてしまったのは残念だ。以前に男子ゴルフ試合をテレビ観戦していた際に、石川遼選手が自分の打つ番でもないのにグリーンに向かって走っていったことがあった。老練なゴルファー二人がゴルフ解説者として中継に招かれていたが、そのお一人が「凄いですね、石川君は他の人が打つ球がグリーン上でどうなるかグリーンの状態を見に行ったんですよ」と言われた。これには流石に唖然とした。フェアウェイの真ん中を走ったわけではないし、ルール違反ではないにしろ、スポーツの試合のなかでもマナーは大事なことだ。

 テレビ中継は一般の多くの視聴者がおり、勝敗だけでなくそこから多くを学ぶ。最近スポーツのテレビ観戦をしていると、外国チームとの試合であってもアイドルや元スポーツ選手などがドンチャン騒ぎのような応援をしたりして目に余ることがある。視聴者獲得のためにレベルを下げても面白さを追求したいのだろうが、特にテレビには競技そのものをもっと分かりやすく正確に放送する努力をしてほしいと思う。

 ゴルフに関して言えば放送する側が“削り取ったターフを直している”シーンなどをもっと映してくれたら、最近増えた安価なセルフ・プレイのゴルフ場の穴だらけのフェアウェイも少しは解消されるのではないか。マナー違反があったらアナウンサーや解説者は選手を直接非難することなく、視聴者に分かりやすく説明する義務があるのではないだろうか。それが各々の競技を理解することに繋がり、楽しみ方も増し向上するような気がする。

筆者プロフィール
今城氏バックナンバー
SAバックナンバーリスト
ページトップへ
          
無料購読お申し込み

advantage
adavan登録はこちら
メール配信先の変更
(登録アドレスを明記)

Copyright (C) 2004 Sports Design Institute All Right Reserved
本サイトに掲載の記事・写真・イラストレーションの無断転載を禁じます。  →ご利用条件