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vol.451-1(2009年6月2日発行)
松原 明 /東京中日スポーツ報道部
「これでいいのか、日本代表サッカー」

 キリンカップ・サッカー最終日、日本代表対ベルギー代表の試合を取材して、がっかりした。ベルギー代表は全く動かず、日本に対してプレッシャーも掛けず、自在にプレーさせてくれた。これでは簡単に2点を先取して、楽勝したのも当然である。

 岡田監督が「何のためにやっているんだ。もう一度、考え直せ!」と、ハーフタイムに選手にカツを入れたのも、しごく、当たり前である。

 だが、一番の問題点は、このW杯予選の時期に、このようなチームしか呼べないマッチメークの困難さにある。目下、南米予選3位のチリ代表(日本はキリンカップ第1戦で4−0の楽勝)は主力の大半を母国に残し、若手の編成(経験を積ませるため)で来日した。十分に時間を取り、この大会に備えたチリはまだしも、ベルギーは1日前に来日、チリと試合後中1日で日本戦。これでは、時差ぼけで日本戦には動けなかった。

 2002年の日韓W杯以降、来日した外国チームが、ベストメンバーをそろえてきたことはほとんどない。すべて「中心選手はクラブが出さない。若い選手に経験させるいい機会」というのがいいわけの常道になってしまっている。国際大会のない日本へ来るメリットがない以上、招待される外国チームが、こうするのは仕方がない。

 南アフリカ大会出場まで“あと1勝”になった。ついに、恐ろしい強敵に出会うこともなく、本大会出場は決まる。だが、難敵と一度も対戦しないまま、本大会を迎えて、大丈夫なのか、心配ではあるまいか。

 日本の最大の泣き所は、本大会前の前哨戦、各大陸のチャンピオンが南アフリカに集まる「コンフェデレーション・カップ」に、出場できない点だ。オシム監督時代のアジア・カップで準決勝で敗れ、王者になれなかったのは大きい。

 ワールド・カップは、その開催大陸の国が活躍する歴史が続いている。唯一の例外は、2002年の決勝(ブラジル対ドイツ)に残れなかった、アジア代表だけである。

 2010年南アフリカ大会は「アフリカ代表がすさまじい旋風を起こすのではないか」と、恐れられている。彼らの身体能力、近年のチーム力向上を考えると、アフリカ大陸代表が地元で初優勝するのも不可能ではない。

 今の代表は、2002年は無論のこと、2006年ドイツ大会も経験したことがない選手が少なくない。本大会出場国は、今回のチリやベルギーのような弱いチームではないのだ。

 ベルギー代表・ベルコーテルン監督は、記者会見の質問に、控えめながら、こう答えた。「日本が世界のベスト4を目指す?野心を持つのはいいことです。チャンスはあるが、難しい。野心を持つのは、日本だけではない。ベスト4に入りたい、と思う国はたくさんある。難しいのではありませんか」

 岡田監督になってから、日本は一度も強国に対戦していない。親善試合では経験ができないぶつかり合いがなければ、再び1次予選完敗のドイツ大会の二の舞になるのではないか。

 ベスト4を目指すなら、予選終了後、Jリーグを犠牲にしてでも、欧州、アフリカへ長期遠征し、本物に胸を借りる以外にない。日本でいくら親善試合をやっても、何も強化にはならないのは明らかである。

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