南アフリカで開催中の「サッカー・ワールド・カップ」は、1次リーグを終了、決勝トーナメントへの16カ国が出そろった。異変の続出で、意外な結果に多くの方が驚かれたのではないかと思う。 今大会開始前、私は「気候の全く違う、冬の大会の南半球での開催であり、この大地に住み慣れた、アフリカ代表6カ国が活躍するのではないか」と、予測していた。そう思う関係者もいたが、アフリカ代表で決勝トーナメントへ進めたのは、ガーナ1国しかなく、ナイジェリア、カメルーンは3連敗。6カ国で3勝11敗3分けの不振に終わるとはまさに意外だった。そして、アジアの危機と恐れていたのは杞憂に終わったのもうれしい収穫だった。 大会前、FIFAのプラッター会長は「アジア代表は1次リーグを突破できないのなら、今の出場ワクは保証できない」と、重大警告をコメントしていた。2006年ドイツ大会は今回と同じ4カ国出場したが、韓国がトーゴに勝った1勝だけ。日本、イラン、サウジアラビアの3各国はいずれも1分け2敗の完敗。どこも決勝トーナメントは夢物語だった。それが今回は韓国が1勝1敗1分け、日本は2勝1敗でともに予選一次リーグ2位。5カ国すべてが決勝トーナメントに進出する圧倒的強さを見せた南米の10勝1敗4分けに次ぐ予想を上回る結果だった。 13カ国出場して決勝トーナメント進出が6カ国の欧州は前回優勝のイタリアが最下位、準優勝のフランスも1勝もできずに敗退したのに比べればアジア代表の健闘は光る。あと、北中米のメキシコ、アメリカの2か国進出も光る。 これまで弱小と思われていたアジア代表がそれぞれの特徴を生かして欧州、アフリカと互角に戦えたのは歴史的な成果である。これで、次回のブラジル大会もアジアは今と同じ4・5枠は確保出来る見通しが立ったのは素晴らしい収穫だ。 韓国も日本も若手が相次いで欧州リーグの激戦区でプレーし、実践経験を積んでたくましくなったのが今の土台になっているのは確かだ。「まだ、個々の力は足りないが、それを、組織でやれることを証明したのは大きい。第1戦のカメルーンに勝てたのが運命を開いた」と、試行錯誤の末、扉を開けた岡田監督は言う。出発前と、ガラリ変わった新代表のメンバー。苦闘の4連敗から自分たちで道をこじ開け、今後もしっかり踏みしめて進んでいって欲しい。 |