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vol.495-2(2010年6月30日発行)
松原 明 /東京中日スポーツ報道部
「心配な若手の人材難」

 サッカーW杯は、日本の夢はかなわず2002年と同じベスト16で終わった。選手もチームもすべてを出し切って闘った結果には拍手を送りたい。しかし、今後の日本で気になるのは若手世代の人材不足である。メンバーの高齢化が将来の悩みではあるまいか。

 今回の代表23選手で一番若いのは22歳のDF内田、森本の2人だがともに出場のチャンスはなかった。他の出場国は目を見張るようなヤングの台頭がある。特にドイツは21歳の司令塔・エジル、20歳のミューラー、21歳のボアティンと3人もレギュラーでプレーしている。その疾走する姿はものすごいものがあった。

 アルゼンチンの中心スター・メッシは23歳。ゴールゲッターのイグアインは22歳。DFオタメンデイ、MFディマリアはともに22歳。全く若手がいないイングランド、フランスとは対照的な世代融合が素晴らしい。

 韓国も活躍したのは、キソンヨン(セルティック)、イチョンヨン(ボルトン)の21歳コンビだった。「若手はどんどん欧州に進出して腕を磨け」と国を挙げての支援態勢だ。

 日本の20、21歳にホープがいないのに危機感を覚える。昨年、ナイジェリアで開催された「U17ワールド杯」で日本はアジア代表になったが、本大会は1次リーグで3戦完敗。その上の世代「U19ワールド杯」はアジア予選でも勝てず、準々決勝で韓国に敗退、世界の舞台さえ踏めないでいる。このまま若手の躍進がなければ、次のワールドカップ・ブラジル大会のアジア予選も勝つメドは立たないのではないだろうか。

 現時点でロンドン五輪予選への準備も、少しも進んでいない。誰が指揮を採るのか、どういうチーム作りを進めるのか、白紙の状態だ。世界はどんどん進化し技術革新も進みモダン・サッカーを目指している中で日本は取り残されるのでは、と心を痛めている。これまで代表の中心だったMF中村俊輔も、もうブラジル大会は望めない。センターバックの中沢も36歳になってしまう。どのポジションも後継者がいない。17、20歳台の選手の中には「世界へ飛躍したい」という夢を持つのが少ないとサッカー協会技術委員は嘆いている声も聞いた。

 「ローマは1日にしてならず」の格言は、日本サッカーに当てはまる。1日も早く世代交代の改革を進めて欲しい、と願っている。

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