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vol.501-2(2010年8月25日発行)
松原 明 /東京中日スポーツ報道部
「ファーイーストの嘆き」

 岡田監督の後任を決める、サッカー日本代表の監督捜しが難航している。岡田監督は「もうやらない」と、南アフリカ・ワールド・カップ終了時で退任。日本がベスト16に入る躍進を遂げた結果を踏まえ、誘えば来てくれると予測した海外監督の招聘は未だ壁に当たり後任が見つからない。ピンチだ。

 「もう1ランク上に進むためには欧州、南米で、国内リーグ、国の代表で実績を残した人を迎えたい」の目標を掲げ、7月から交渉を進めたが、すでに意中の3人には断られて諦めるしかなくなった。「いい監督を連れてきたいとしか考えていない」と、交渉の中心、原博実強化担当技術委員長は苦渋の表情だが断られる理由の大きな原因は「家族がファー・イースト(極東)へ行くのはイヤ」ということなのだから今後の交渉は大変である。

 日本は欧州からも南米からも遠い。丸1日がかりである。その上湿度が高く蒸し暑い梅雨から夏へ掛けての気候に彼らは閉口する。さらに、日本へ行くと欧州や南米のビッグ・クラブから遠のいてしまうという背景もある。改めて、いかに日本の位置が代表監督の長期滞在の障害になっているかが、良く分かった。

 日本協会は、監督が決まる前に、スポンサーのキリンとの関係で早々と、パラグアイ(9月4日)グアテマラ(9月7日)の強化日程を決めてしまったため、この2試合は監督不在で迎える羽目になってしまった。これに関連したロンドン五輪の体制も決まらず、未だに白紙のまま。このままではあと1年に迫る五輪アジア予選突破も危ぶまれる状態だ。

 「監督不在で、どういう強化方針なのか分からないのでは、選手も出せない」と、選手を送り出すJ・リーグからも疑問の声は上がっている。やむなくこの2試合は、FC東京などで指揮経験のある原氏自身が代行で指揮を執る異常事態だ。

 日本代表監督になったジーコ(ブラジル)は、長年、鹿島で指揮した経験がある。今、鹿島を指揮しているオリベイラや、日本を良く知る人でないと未知の欧州、南米の監督では日本を理解できないのではあるまいか。ブラジル代表監督を辞任したドウンガは元磐田で選手、監督の経験がある適任者だが、原委員長の構想にはないようだ。

 このままでは日本代表、五輪代表とも、組織造りが遅れてしまうと恐れている。

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