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vol.537-1(2011年8月22発行)
松原 明 /東京中日スポーツ報道部
「なでしこの試練」

 だれも予想しなかった。女子サッカー・ワールドカップで日本代表「なでしこジャパン」は、地元ドイツ、世界ランク1位のアメリカを倒し、見事金メダルを獲得した快挙に日本中が沸いた。

 しかし、問題は9月1日から中国・済南で開幕するロンドン五輪アジア予選が目の前に迫っていることである。

 女子サッカーの関係者は「W杯からロンドン五輪アジア予選への日程は一環したもの、として準備してきた」と言うが、7月19日、ドイツから凱旋したあと一気に多忙になり、歓迎会、祝勝会、表彰のラッシュ、さらにはリーグも再開され、テレビ局の殺到でイレブンは息を抜くヒマも無くなった。この狂乱騒ぎは想定外だったはずだ。

 6月14日、新居浜(愛媛県)で始まったW杯の合宿から1ヶ月の大会期間を経て、帰国、さらに1ヶ月続く大フィーバー。心身とも疲れて大会を迎えるのではないかと心配は尽きない。

 このアジア予選は6ヶ国の集中開催。格下のタイを除けば、他の5ヶ国の力はほぼ横一線の激戦区。日本は第1戦のタイ戦のあと、韓国、オーストラリア、北朝鮮、中国と4連戦のハード日程。他国は準備万全で乗り込んでくるのに、疲れが抜けないままで果たして大丈夫なのだろうか。

 他の4強はタイ戦が間にはさまるため、控えメンバーで一息つける余裕があるが日本はそれができない。6ヶ国の1回勝負。1、2位の2国しか代表になれない厳しい日程だ。

 「ロンドンでも金メダル」と、みんな騒いでいるが、一転して追われる立場になったいま、満足に動けなかったらそれどころではあるまい。W杯予選でも、日本はオーストリアに敗れ、3位決定戦で中国を破ってアジア3位で本大会へ出場した。それくらいアジアの力は接近している。

 すべての心配を吹き飛ばし無事に出場できたら、2ヶ月半にもなる長いプレッ
シャーを切り抜けたなでしこの驚異的なスタミナに脱帽する以外にない。

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