スポーツネットワーク
topページへ
スポーツバンクへ
オリジナルコラムへ
vol.603-1(2014年4月23日発行)
松原 明 /東京中日スポーツ報道部
「イチローの苦しい立場」

 最近、よく「イチローは打率4割も打っているのに、使われないのはおかしい」という議論を耳にする。
ファンの見方からすれば当然の疑問だが、さて、現実は厳しいのだ。

 彼はもう40歳。もう1人の40歳スター、デレク・ジターは故障から再起、連日プレーしているのと比べ、「イチローだってなぜ」と思うのは分かるが、いまのヤンキースは若返りの途中で、いかに早く若手を見つけ出し、新編成しなければならないのだ。

 ジターは昨年から「今季限り」と、引退を表明し、いわば、今季は全米を回る引退興行になっている。だから、休養日以外は外せないのである。
実は、キャンプ途中、フィリーズへ、イチローのトレードを打診したが「40歳の老雄はいらない」と、不成功に終わった。生え抜きの看板スター、ジターと、途中加入のイチローとでは、チーム内の置かれた立場は違うのである。

 ヤンキースは昨年オフ、レッドソックスからエルズベリー、カージナルスからベルトランの2人のFAスターを獲得。外野トリオ(あと1人は生え抜きのガードナー)で固めた。だから、イチローはこのトリオを休ませる時しか出番はなくなった。

 ジラルデイ監督、キャッシュマンGMは、ともに、イチローの走塁、好守を認めてはいるが、それ以上は言葉を飲んでしまう。

 練習でも打球は飛ばなくなった。明らかに体力の衰えは否定できない。出場12試合で二塁打1本しかなく、内野安打か、野手の間を抜くヒットだけだ。
内心、訴えたいことはあっても、首脳陣批判と取られては、ヤンキースにいられなくなる。彼の苦しい胸の内を察するしかいないのである。

筆者プロフィール
松原氏バックナンバー
SAバックナンバーリスト
          
無料購読お申し込み

advantage
adavan登録はこちら
メール配信先の変更
(登録アドレスを明記)
ご意見・ご要望

Copyright (C) 2004 Sports Design Institute All Right Reserved
本サイトに掲載の記事・写真・イラストレーションの無断転載を禁じます。  →ご利用条件