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vol.627-1(2015年3月18日発行)
尾崎 和仁 /フリーライター

Jリーグの観客動員とTV中継を考える

 明治安田生命J1リーグ第2節(3月14日)、今季J1昇格の松本山雅のホーム開幕戦(対広島)の観客数は17,091人だった。

 広島相手に1対2と惜敗した試合後に、松本山雅の関係者に聞いたところ、「開幕戦の動員目標を18,000人に設定していたが、わずかに足りなかった」と残念がった。「(立見席を含むキャパ2万人の)スタンドを見渡すと、わずかに空席があった程度だったので、(18,000人に)届いていると思った。でも、ベンチシートや立見席エリアで着ぶくれの影響もあったのかもしれない」と苦笑いしていた。
 そのうえで、目標未達の要因として、夜7時からの試合だったこととNHK−BS1でテレビ生中継があったことを挙げた。
 地元の人ならば3月中旬の夜の寒さは身に染みてわかっている。そして、テレビ中継があるのならば、記念すべきJ1でのホーム開幕戦とはいえ「家で、テレビで観ればいいだろう」と思う人も多かったのではないか。
 実際に、試合時の気温は0.8度で、スタジアム名の由来になっているアルプスからの風は穏やかだったものの、観客席の底冷えは厳しかった。

 松本山雅のホーム開幕戦が夜7時開始になったのはテレビ中継のためだろう。今季、スカパーJSATとともにJリーグの放送権を持つNHKは、BS1の夜7時からの放送枠で、今季J1に昇格したチームの試合を中継している。第1節は湘南(対浦和)、第2節は松本(対広島)、第3節(3/22)は山形(対川崎)。だから、会場の寒さとは関係なく、夜のキックオフになったのだ。

 この試合の観戦チケットは前売り分が完売していたが、会場では当日券を販売していた。シーズンチケットを持っているサポーターの来場状況を見ながら、席の空き具合に応じて当日券を出していた。一人でも多くの観客を集めるために、ぎりぎりまで細やかな対応をしていた。

 些細なことかもしれないが、この試合では、テレビ局とクラブの思惑が少しずれてしまっていたようだ。観客数を増やしたいJリーグには、このような細かなズレを修正・改善していくことも求められているのではないか。この試合の松本山雅の選手の奮闘とサポーターの熱い応援ぶりをテレビで観た人たちが、一人でも多くスタジアムに足を運んでくれることを願う。

●プロフィール
尾崎 和仁(おざき かずひと)
1960年埼玉県川越市生まれ。埼玉大学教養学部卒業。
2013年まで広告会社(株)アサツーディ・ケイに勤務し、日本オリンピック委員会などを担当した。
2014年からフリーランス。主にサッカー、バスケットボール、オリンピックを中心にスポーツ全般に目を向けている。

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