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vol.629-1(2015年4月7日発行)
尾崎 和仁 /フリーライター

トークショー「サッカー本事始め」より

 4月2日の夜、東京・お茶の水の日本サッカーミュージアムで「サッカー本事始め」というトークショーがあった。大住良之さんの進行で、日本サッカー殿堂入りしているサッカージャーナリストの賀川浩さんと牛木素吉郎さんが、日本におけるサッカーの本の始まりや自らが関わったサッカー本出版の苦労や裏話を披露した。

 130年前の「戸外遊戯法」にはじまる、マニアックな内容だったが、賀川さん、牛木さんの実体験が語られることで、特に、先人たちの、サッカーの素晴らしさ、おもしろさを伝え、広めようとする「使命感」が強く印象づけられた。
 約90分のトークショーの後に、客席から、こんな質問があった。
 「今まで、集めてきたサッカーに関する本や雑誌がたくさんあるのだが、どうしたらいいものでしょうか? 中には、貴重なものもあるはずですが、家族には、ただのゴミとしか思われていないようで、心配です」
 会場にいた小倉純二日本サッカーミュージアム館長(日本サッカー協会名誉会長)が「そういうことならば、こちら(日本サッカーミュージアム)に連絡をください」と、やさしく手をさしのべたのに対して、まず、牛木さんが言った。
 「あなたのような方は全国にたくさんいるはず。その方たちみんなが、こちらに持ち込んだら収拾がつきません。ぜひ、あなたの地域で活用する方法を考えてください」
 さらに、賀川さんが続けた。
 「私は、昨年、長年の取材資料などを提供して、神戸市立中央図書館の一室に「神戸賀川サッカー文庫」を開設することができました。今、公立の図書館にサッカーコーナーを設けようとする動き(図書館海援隊サッカー部の活動)も広がっています。地方の行政とうまく組むことができれば、あとあと広がると思うので、まずは、区や市に持ちかけたらどうでしょうか」
 ぼく自身もそうだが、まわりには、数千冊のサッカー雑誌、書籍などを所有している者が大勢いる。サッカーとともに年齢を重ねるうちに、いつのまにか集まってしまった膨大な量のサッカー本をどう始末したらいいのか、何か役に立てる方法はないのか、悩ましい限りだ。

 「サッカーミュージアムのようなサッカーに関する資料館が、各都道府県にひとつずつでもあれば、そんな悩みもいくらかは解消して、さらにサッカーの楽しみが広がるんだけど・・・」と、イベント後の延長戦(飲み会)で、牛木さんが言っていた。

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