スポーツネットワーク
topページへ
スポーツバンクへ
オリジナルコラムへ

vol.755-1(2018年7月2日発行)

今城力夫 /フォトジャーナリスト

「コロンビアに恵んで貰った日本の決勝T進出」
 

   サッカーW杯予選を終え日本チームは辛くも決勝トーナメントに進める権利を得た。だが素直にこの結果を喜べないし、彼らにエールを送る気にもなれない。予選の初戦はコロンビアとの対戦だったが、ラッキーなことにコロンビアの選手が試合開始直後にペナルティ・エリアでハンドによる反則を犯し、行き成りレッドカードによる退場となる。日本はルールどおりペナルティ・キックも得てゴールを成功させ得点を得た。相手は一人退場となったためこの試合の殆どの時間は10人対11人行われた。ほぼ当然といってもよい状況ではあったが、日本は格上のコロンビアから勝利を勝ち取ることが出来た。日本選手は大会前の下馬評とは違ってまあまあな試合運びをしていたのは事実だが、一人少ない相手チームとの戦いとしては多少の不満は否めない。
 2戦目のセネガルとのゲームも運良く引き分けとなり、日本チームはほぼ順調に進めてきたが、第3戦目のポーランドとの試合は後半部分でスポーツとして余りにも無礼で品位のない時間稼ぎの行動に出た。このウェブサイトの読者の方々に細かい説明は不要と思うが、同時間帯にセネガルとコロンビアの試合があった。後半のゲームでコロンビアが点を入れた情報が試合中の日本チームに入ったようだ。日本はポーランドと負け試合を演じていたが、セネガルが負けるとポーランド戦を落としても日本は決勝トーナメントに進むことが出来る状況になっていた。それを知っていた日本チームはミスを起こさないようにとデレデレと玉回しをしながら試合終了までの時間稼ぎに転じたのだ。決勝Tへ進むためならファンであろうと一般の観客であろうと、また日本では真夜中にも関わらずTV観戦してくれている人たちを翻弄した。ここでチョット考えてみて貰いたい。またしてもコロンビア・チームのお陰なのだ。H組の予選を総合的に見てみると、決して日本が自力で決勝Tを勝ち取ったのではないのだ。
 スポーツ大会は美しい精神を持った行事のように常々考えられて来た。しかし決してそうではない。国技だと言われる相撲界は長い間「やくざ社会」の様相を呈している。暫く前に読んだSNSのある記事では幕内の力士の30パーセント以上が外国人とのこと。これで国技と言えるのか。多くのスポーツの団体では暴力的いじめやパワー並びにセクシャル・ハラスメントがまかり通っている。国体では主催県の多くが総合優勝を勝ち取ってきた。これは主催県が優秀な選手達を他県から事前に集めるからだそうだ。春と夏には毎年高校野球大会が開催されるが、ここでも強豪学校の多くは越境入学をさせて優秀な選手を集めているそうだ。しかし、高校野球は大手の新聞社が主催のため、この卑劣な行為も彼らの報道には現れない。子供達に「夢を」などと言われるが、どうこの現実を子供達に教えたらよいのか、と自問している。2020年の東京オリンピック・パラリンピックが近づいてきたが、メインスタジアムの過酷な工事現場で犠牲者も出している。スポーツに関することも一歩下がって全体的に検証する必要があるのではないか、と考える。

筆者プロフィール
今城氏バックナンバー
SAバックナンバーリスト
ページトップへ
          
無料購読お申し込み

advantage
adavan登録はこちら
メール配信先の変更
(登録アドレスを明記)
ご意見・ご要望

Copyright (C) 2004 Sports Design Institute All Right Reserved
本サイトに掲載の記事・写真・イラストレーションの無断転載を禁じます。  →ご利用条件