シンガポールでの国際オリンピック委員会(IOC)総会が近づいている、といっても会期の7月第1週までまだ2ヶ月あるのだが、じりじりしてこの日を待っている2つの動きの周辺にとっては、悠長なことを言ってはいられぬ状況だ。 1つは2012年の夏季オリンピック開催地の決定、1つは同大会で実施する28競技の見直し。 前者は5都市(ロンドン、マドリード、モスクワ、ニューヨーク、パリ)が、終盤の“追いこみ”に入り、IOC筋も「これまでにない激戦」と認めているほどの競り合いである。 いちぢ、このうちの2都市は、やや水を開けられたとの情報が流れたが、いつの総会でも起きる“怪情報”の1つで、投票当日まで予断は許さない。 この大会の開催場所がアメリカ大陸(ニューヨーク)かヨーロッパ大陸か、は、「2020年」あたりを目標に手をあげようかとの話が出はじめた日本の“関心都市”には、微妙な影響を及ぼそう。 IOCは、旧来の“大陸巡回”にこだわるものではない、との新しい姿勢をのぞかせ、シドニー(2000年)−アテネ−北京(08年)とつづいたのだから12年はアメリカ大陸優位という見方を否定する風聞にもなっているが、アシア大陸にとっては“巡回”のほうが成算を読み易い。日本オリンピック委員会(JOC)筋は、これからは少なくとも2回は連続して立候補する構えが必要、とみる。 実施競技の見直しは、先週ロンドンで開かれたIOCの会議で、その作業手順が明らかになった。 現行の28競技を1競技ごとに賛否を問い(無記名)、過半数の支持を得れば「存続」となる。 「存続」を否定された競技がなければ、新競技の採用についての検討には入らないことになる。 こうなると、現行競技が有利だろうとの観測が、国際スポーツ界では強いようだが、夏季大会に固まっているインドアスポーツ(アリーナスポーツ)の一部を冬季大会へ移し、その分、新競技を夏季大会に迎えたら、といった意見など、これまたさまざまな“見方”が飛ぶ。 前会長時代、冬季大会は「氷雪スポーツに限る」と明確だったが、新時代、何が起きてもおかしくない。 開催候補地、国際競技連盟いずれも、これまでとは違った思いの「総会前2ヶ月」であろう―。 |