いまだに、どのような大会となるのか不透明な部分を残す「ワールド・ベースボール・クラシック」(WBC=3月12〜20日・アメリカ)だが、アメリカで中継するテレビ局がケーブル・スポーツ専門局の「ESPN」に決まった、と発表された(1月30日)。 ベースボール王国のアメリカで、テレビ中継が行われない、とは考えにくかったが、昨年末までは、国内テレビ関係者も、ほとんど動きが伝わってこないと口を揃えていた。 常識的には、それはメジャー4局、全国ネットワークと呼ばれるNBC、CBS、ABC、FOXがあまり興味を示していないことを物語る。 1000万世帯近い契約を持つ大スポーツチャンネル「ESPN」が救ったことになるが、やはりそれだけでは「WBC」の格付けを上げることへつながらない。アメリカでの関心度をうかがうことにもなる。 ベースボールに国別対抗戦が必要なのか、という議論は、開幕まで“秒読み”といってもよいこの段階でさえ、完全には消えていない。サッカーと張り合おうというならナンセンス、の声も聞かれる。 日本では、アジア予選(3月3〜5日・東京ドーム)は、プレシーズンマッチとしては、それなりの人気を集めるだろうが、本番にどこまで熱を上げられるか。 アジア予選の放送権は、日ごろメジャーリーグ(MLB)の放送を手がけている各局に打診されたようだが、ふたつ返事で契約とはいかなかった。 トリノ冬季オリンピックの男子アイスホッケーは、ストライキが解けて久々に激戦の戻ってきた北米アイスホッケーリーグ(NHL)を、わざわざ中断してトップスターの参加に道を開いている。 アイスホッケーの“凄さ”を、総てが一つになって世界へアピールしようというのだ。 ベースボールには、どうも「世界のスポーツへ」とする気構えが乏しいように思える。 愛好する国の熱気だけで充分、とするのも1つの見識だが、「WBC」がお寒い内容では、逆効果を生みかねない。 「ESPN」がキー局として視野を“世界展開”に拡げるのか、それとも“アメリカ・ローカル”に徹してしまうのか、ちょっと興味深い。 (注)ESPN=Entertainment
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