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vol.485-2(2010年3月31日発行)
松原 明 /東京中日スポーツ報道部
「町田の挑戦」

 JFL(日本フットボール・リーグ)の町田ゼルビアは、2011年のJリーグ昇格へ向けて挑戦を続けている。開幕して3試合、2勝1分けの好スタートで「4位以内の成績」の昇格第1条件クリアへ懸命の努力中だ。

 すでに町田市は、全面バックアップを約束し、野津田公園内の町田市立陸上競技場に第1期改修工事として4基の照明灯工事を完了。8月からはバックスタンド工事に取りかかる。来年3月に完成すれば「1万人以上収容」の昇格規定も満たせる。

 第3の規定「平均観客動員3000人以上」の実績も、開幕日には、ほぼ満員の4993人が集まった。昨年は平均1886人しか入らず、Jリーグから「これではまだ無理」と、2010年の昇格申請は保留された。

 今季こそ、昇格「ゼルビアイレブン宣言」に突き進む勝負の年になった。

 しかし、この3つがすんなりクリアできるかどうかは、極めて難しい。選手の育成、獲得、チーム編成に奔走していた、沖野等強化部長が、2009年9月11日、急性心筋梗塞で急死する悲劇があった。沖野さんは、私に「欲しい選手はいるが、何分資金がありません。アマにもいい選手がいても、就職のあっせんもしなければならない。それも断わられることも少なくないのです」。本当に辛そうな沖野さんは心労で倒れたのではあるまいか。
後任の岡本純GMも体をこわしてわずか3ヶ月間で辞任。3月3日に、清水、東京V、千葉で強化担当だった唐井直氏を招いて、やっと開幕へこぎ着けた。地方クラブの内情は大変なのである。

 新監督に就任した、相馬直樹氏は清水東、早大、鹿島、川崎とエリート・コースを歩いてから、初めて監督にチャレンジした。相馬監督は「強く魅力的なサッカーで町田にサッカー文化を定着させたい」と、夢いっぱいだ。

 清水東高校の先輩で湘南ベルマーレ監督の反町康治氏は、こうアドバイスする。「どんな場所でも監督のスタートを経験しないと、上はない。私も新潟監督の初期はグラウンドもなく、整備から始めてなんでもやった。相馬君は我慢して道を開いて欲しい」。

 清水エスパルス監督の長谷川健太氏も、同じ清水東高校の先輩だが、監督業のスタートは浜松大学だった。練習場を借りる、整備する、用具を調達する、人の配置など、1人何役もこなしてきた。その苦労はもらさない。

 ローマは1日にしてならずの教え通りである。フロントと現場が一体となってやれば道は必ず開ける。苦闘を重ねる町田のゴールは11月28日のJFL閉幕。「4位以内ではなく優勝して、堂々と昇格したい」イレブンの意気込みを買いたい。

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