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vol.492-1(2010年5月24日発行)
松原 明 /東京中日スポーツ報道部
「ワールドカップの期待と不安」

 6月11日から、初めて南アフリカで開幕する、サッカーワールド・カップへアジア代表の日本は、いよいよ、スイス合宿を経て、現地へ乗り込む。
今は盛んに楽観説が飛び交っているが、メンバー選考や、戦力分析はその人たちに任せて、彼らの議論しない問題を追及したい。

 問題の第1は、南半球での開催である。1978年のアルゼンチン大会以来の開催になる。日本とは気候が反対の冬。これまでの大会は夏開催なので、代表国はコンディションの維持が大変だったことを思うと、条件的にはいいはずだ。
 だが、南アフリカの気候は「1日で4回変わる」と、言われているほど、寒暖の差が激しく、慣れないチームは苦労すると言われている。日本はスイスでの合宿を経て現地入りするが、10日間の調整で果たして、対応できるのだろうか。日本は昨年のコンフェデレーション杯を経験できなかったため、誰も知らない世界で初めて闘うのである。
 熊崎敬さんら4人の南アフリカ取材班が書いたガイド「ブゼブラ」によると、「海抜1700bの高地から、雨の多い地域、乾燥して、日差しの強い土地、と、変化に十分の対応が必要です」という。
 
日本代表の審判、西村雄一氏は、今回も唇が乾く予防に多くのリップクリームを持参した。「とても口が渇きます。走るのは大変」と、昨年の経験を踏まえて忠告している。こうなると、住み慣れた大地に生まれ育った、アフリカ代表諸国の独壇上になるのではありまいか。
 テレビ解説で現地へ行く、J1湘南反町監督と、練習場で話したとき「今回は恐るべし、アフリカになるのではありませんか」と、聞いたら「私もそう思う。密かに旋風を起こすのは、ナイジェリアではないか、という気がする」と、応えた。
時差のない、欧州代表も不利ではない。同じ南半球のアルゼンチンら南米代表も有利なのは間違いない。
 地球を見ると、アフリカから一番遠く地理的に不利なのは東アジアの韓国、日本、北朝鮮の3カ国なのは明かだ。
 アジアは現在4・5枠の権利があり、4か国が出場するが、果たしてこの権利を確保できる成績を収められるか、不安はいっぱいだ。
 
 日本の心配はDFの中心、田中闘莉王である。東アジア大会の対韓国戦で相手の挑発を受けてかっとなり、退場処分を受けたプレーが気になるのである。
 あのビデオを研究した対戦国には「あんなことでひっかかるのか」と、弱点を暴露したのではあるまいか。「田中を誘いだせば日本は崩れる」と、どんな手を遣わないとも限らない。反省した本人は2度とやらないだろうが、かっとなるのはFWの大久保も同様で、退場の前科がある。
 細心の注意を払わないと、切り抜けられないのがW杯なのだ。今は幸運を祈る、としか言えない。

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