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SBC杯第12回全日本スピード距離別選手権大会 女子1000m 外ノ池亜希


(C)photo kishimoto


SBC杯第12回全日本
スピード距離別選手権大会
女子1000m
外ノ池亜希

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vol.275-1(2005年 11月 2日発行)
岡崎 満義/ジャーナリスト

スポーツの低年齢化について

大島 裕史/ジャーナリスト
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スポーツの低年齢化について
岡崎 満義/ジャーナリスト)

 最近、才能に恵まれた15歳が、いろいろなジャンルで目につくようになった。「平成マシンガンズ」という小説で、文芸賞を最年少で受賞した三並夏さん、女子フィギュアスケートで世界ジュニアチャンピオンになった浅田真央さん、男子プロゴルファーを目指す伊藤涼太くん、みんな15歳である。恐るべき15歳!

 世の中全体が、子供の早期教育をよしとしている。早く教育すればするほど、子供の才能は伸びる、という信念があるようだ。義務教育の小学校から、英語を必須科目にしようという文科省の動きも、その線に沿うものだろう。たしかに、昔から、芸事を教えるのは6歳から、という。三つ子の魂百まで、ともいう。子供の柔軟な受容性がいかに大きいか、その実例を見聞きすることは少なくない。

 強く教え込めば、子供は受けてたつ。子供の可能性は、大人が思う以上に大きいようである。

 1976年のモントリオール五輪で、女子体操のコマネチ選手が、10点満点の演技を次々に見せた。驚くべき10代に、目を見張ったものだ。以来、体操の低年齢化は当たり前のことになった。コマネチはたしかにスゴイ演技を見せてくれた。しかし、東京、メキシコ両オリンピックに登場したチェコのチャスラフスカの優雅な体操演技を見た者にとっては、コマネチは正確無比な体操人形を見ているような物足りなさも覚えた。

 テニスの世界でも、たとえばカプリアティはハイティーン時代に大活躍したものの、いわゆる燃えつき症候群となって、一時、麻薬におぼれたりもした。あまり若いとき、栄光の座についてしまうと、その後の人生に微妙な狂いが生じるのではないか、と思わせるような事例がいくつも出てくるのだ。精神面のつまずきと同時に、過度の訓練による体の損傷もある。よほど立派なコーチがついていなければ、早期教育には危険性が伴うだろう。

 成績次第で大金が稼げる「プロ」の存在がクローズアップされてきて、みんなのあこがれの的になってきた。「アマ」「プロ」がはっきり区別されていた時代よりも、いっそう「プロ」を目指す子供の低年齢化がすすんできた。技術的、経済的に「プロ」が最高、最終目標となり、「アマ」の価値が殆ど認められなくなった今、低年齢化は加速しそうだ。早期教育をしなければ、世界レベルのスポーツには間にあわない、という。それも理解できる。しかし、促成栽培、となってほしくない。時間をかけて成熟してほしい。「プロ」を目指して一目散、まっしぐら、でなく、ゆっくりゆっくり、大器は晩成する、というやり方はないものか。

 人生80年、という時代が来ている一方で、スポーツでは低年齢化がどんどん進んでいる。人生50年時代であるならば、スポーツのピークと人生のピークは、あまりズレないかもしれない。人生80年時代となれば、スポーツのピークが過ぎて、なお長い長い人生があまるということになる。今のスポーツ低年齢化は、人生80年時代に耐えられるだろうか。(他のジャンルでも同様だが)

 1976年のモントリオール五輪で、東ドイツの女子水泳選手のコルネリア・エンダーは、たくさんの金メダルをかっさらっていった。「女ポパイ」と異名をとり、薬物使用が疑われた。彼女はその後、男子背泳のマッテス選手と結婚して、第一線を去った。

 そのとき、東独はエンダー選手を特別な水泳選手から、ふつうの家庭生活を営む主婦にするべく、体をもとの状態に戻すトレーニングをさせている。医師、栄養士、メンタルトレーナーなどをつけて、金メダルをとる水泳の体から、ふつうの主婦の体へと、十分なアフターケアをしていることに驚いた。そういう発想は日本になかった。

 スポーツ選手の低年齢化が進むならば、そのスポーツを終えるとき、あるいは挫折したときのアフターケアまでも、しっかり視野にいれなくてはならないと思う。


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