マーリンズのジェフリー・ロリアオーナーがマーリンズの本拠地移転を決め、移転先探しに着手することを正式に表明した。 マーリンズは1993年、MLBの球団拡張策の一環としてフロリダ州マイアミに誕生した。1997年と2003年にワールドシリーズを制したが、本拠地のスタジアムはNFLのマイアミ・ドルフィンズのスタジアムを借用しているため、スタジアムが野球観戦に適さない。そのうえ、郊外にあって交通の便も悪いので、2005年の観客動員は182万人と、ナショナルリーグの中で最低だった。球団は、当然財政難で、その為、主力選手を次々と放出してきた。今年のシーズンオフも主力選手の移籍が相次いでいる。そして、今年6,500万ドルだった選手年俸総額を来年には4,000万ドルに削減する方針も策定した。マーリンズの周辺が俄かに騒がしくなってきた。 マーリンズの元オーナーのジョン・ヘンリーと現オーナーのロリアは、過去、不可解な買収劇を演じている。
2001年8月、ボストン・レッドソックスが売却されることになり、6人(組)のオーナー候補が買収に参加した。6人(組)の中に、マーリンズのヘンリーと元サンディエゴ・パドレスのオーナー、トム・ウェーナーのパートナーがいた。ヘンリーは、8月頃までマーリンズの新球場建設の資金集めを画策していた。
そして、8月、レッドソックスの買収に乗り出す。10月になると、球場建設を断念し、ディズニー所有のアナハイム・エンジェルスの買収に傾注する。ヘンリーが他の球団買収に動き出すのを見たモントリオール・エクスポズのオーナーのジェフリー・ロリアがマーリンズ買収に打って出た。
12月に入り、マーリンズのオーナーがヘンリーからロリアに変ることをMLBが承認する。また、12月末、ヘンリーとウェーナーの組がレッドソックスを買収した。これによって、エクスポズのオーナーが不在となった。 ロリアを含む残り29人のオーナーがロリアからエクスポズを1億2,000万ドルで購入し、いわゆる、Baseball
Operation(野球管理)はMLBコミッショナー事務局が行うことになった。その時、29人のオーナーはエクスポズ移転に関して、二つのことを決めた。
一つ目は、エクスポズ移転に際して、MLB側は一切金銭的負担をしないこと。二つ目は、エクスポズ移転が決定してからオーナーを決めること。 エクスポズの誘致合戦に、ワシントンDC、ポートランド、ラスベガス、サクラメント、サンアントニオ、メキシコ市、プエルトリコ、等が参加し、新球場の建設が決め手となってワシントンへの移転が決定した。同時に、球団名称もナショナルズに変った。 2001年末にエクスポズが29人のオーナーに売却されてから4年を経て、ワシントンでのシーズンが今年から始まったが、未だにオーナー不在が続いている。
ただ、驚くべきことは、ナショナルズの球団価値が4億ドル〜4億5,000万ドルに上がったことだ。4億ドル強でナショナルズが新オーナーに売却されれば、売値と買値の差が約3億ドルなので、各オーナーは一人当り約1,000万ドルの分配を受けることになる。4年間で1,000万ドル。金持ちには何時も金が入ってくるようになっているものだ。 ロリアはマイアミよりも有利な土地にマーリンズを移し、その後球団名称を変更し、数年後、球団価値が思惑通り上がった時点で売却する考えではないだろうかと、やや意地の汚い推測をしている。 |