各クラブまだ10戦にも及ばぬ序盤段階だがイングランド・プレミアリーグ(20クラブ)が、興行的にいつになく動きの鈍さを露わし、マスコミなどから批判されている。 具体的には、昨シーズンの同試合数と比べて9クラブが、観客数を落とした、というのだ。10パーセント減のクラブもある。 その一因に、テレビ中継の増加と番組優先策がある、と活字メディアは騒ぐ。 かつては、土曜の午後に、ほぼ全カードが一斉にキックオフされていたが、より多くのカードを提供したいとするテレビ局の意向で、その試合間がずらされた。 そのうちに、土曜、日曜に“分散”され、最近は月曜にも組まれる。これだけサービスされれば、ゆったり自宅で、となるフアンが多くなるというわけだ。 Jリーグも、高額な(ヨーロッパとは比べものにならないが・・)放送権料の“対価”として、放送局側の要望で、一部のカードを日曜に移している。 スタジアムへ足を運ぶ人の数に、どのような影響を与えたのか。批判があまりないところをみると、さほどの変化はなかったものとも思えるが、もともと観客も視聴率も飛び抜けた数字をはじき出していたわけではない。 イングランドのフアンが顔をしかめ、腹を立てる各クラブの試合数不揃いによる「暫定順位」のわずらわしさも、日本では、ベースボールでの慣れが手伝うのか、苦情は少ないようだ。 プレミアリーグへの攻撃は、協会やクラブの営利主義に向けられるのが“定番”になってきている。 フアン、サポーターを放り出し、まずテレビマネー、そしてスポンサーマネー。それでスタジアムが快適となり、ゲート(入場料)が安くおさえられるのならまだしも、むしろ値上がりの傾向にある。最高クラスの席は、邦貨で1万円を越すケースが多くなったのだ。 「それならテレビのほうがいい」。スタジアムの風にあたり、“現場”の雰囲気を至上としたさしものイングランドのフアンも、有料契約のテレビの前を、重宝がるようになってしまった、ということのようである。 ある面これは、テレビ局にしめたと思わせるものだし、クラブは、放送権料値上げの材料にできる。 このような風潮が、スポーツのためによいのかどうか。答えはノーに決まっているのだが、関係者は、現状を安住と心得てか、改善の手を打たない。 賢明なフアンが、スタジアムへ向かわなくなった怖しさに気づかぬと、いずれはとんでもないことになる。 「プレミアリーグ」を、日本のプロ野球団や諸々のスポーツビジネスに置き換えて考えるのも、大いに意味がある―。 |