オリンピックに新競技として採用される道を拡げよう―国際オリンピック委員会(IOC)ジャック・ロゲ会長(ベルギー)がそのような意向を明らかにした、と11月14日付で各マスコミが伝えている。 今年7月、シンガポールでのIOC総会の投票でベースボールとソフトボールを外したが、この2競技に代わる“新採用”は、5競技(スカッシュ、空手、ラグビー、ローラースケート、ゴルフ)がノミネートされながら、投票の結果、規定の「3分の2以上」の支持を得る競技が1つもなかった。 このため、2012年夏季のロンドン・オリンピックは、08年の北京より2競技少ない26競技。地域的ななじみ度がバラつく新競技(候補)が、100人近い委員から3分の2以上の賛同を得る難しさは誰の目にも明らかだった。 今回の会長の意向は、それを「過半数」に変えてオリンピックへの参加を容易にしようとするものだ。改正と言えよう。 テレビ関係者は、ロンドン大会も28競技で行われると見込み、アメリカNBCは北京より2億8,600万ドルも高い11億8,000万ドルの放送権料で合意し、ヨーロッパ放送連合(EBU)も2010年バンクーバー冬季オリンピックとのパッケージで、前2大会を上回る金額(8億4,000万ドル=推定)にまとめている〜注・日本の交渉はまだ行われていない〜。 2競技少ない、といってNBCやEBUが不満をもらしたとは伝えられていないが、「意外」であったことは間違いない。 「3分の2」にこだわっては、2016年大会は26競技の確保も揺らぐ可能性がある。そうなれば放送権料に響く。 もっとも、シンガポール総会で最後に残ったスカッシュと空手は、いずれも39票の賛成のとどまり、過半数の52票に遠く及ばない。 オリンピックを狙う各競技は、いかに「世界のスポーツ」として評価されるか、これからは懸命な“振興策”を図るだろうが、待ちうける道は、総てが広いわけではなさそうだ。 そうしたなか、同盟意識から脱して「世界」への飛躍をアピール、2011年ワールドカップ招致に立候補していた日本ラグビー界の宿願がニュージーランドの“名”の前に退けられた(11月17日)。 このスポーツ独得の“伝統の囲い”が、想像以上に高く、厚く、そして手を取り合う国々のスクラムの強さを再認識させるものだ。 ラグビーは、シンガポール総会では、第1候補を選ぶ投票では3位、第2候補を選ぶ投票でも2位と得票が伸びていない。日本の主張は説得力にあふれていたが空しかった。 日本ラグビーフットボール協会関係者は「世界へのステップがまた遅れる」と無念さをかくし切れない(11月18日未明)。 世界的スポーツと認知される道は狭い、というより、難しい関門が多すぎる―。 |