4月29日に開幕して5カ月余り。国内初の野球独立リーグ「四国アイランドリーグ」がシーズンの大詰めを迎えている。すでに各チームが残り10試合を切り、6日現在の順位は1位高知ファイティングドッグス、2位徳島インディゴソックス、3位香川オリーブガイナーズ、4位愛媛マンダリンパイレーツとなっている。 順位争いもさることながら、リーグが最も気にかけているのは、シーズン終了後のプロ野球ドラフト会議である。石毛宏典代表は自身のブログでこう言っている。 「このところ『俺は絶対プロへ行くんだ!』『自分こそ!』という顔つきに変化し、野球に対する姿勢が変わってきた選手もいますが、まだまだその人数は決して多くはありません。リーグに飛び込んできた初心を忘れずに、自分の人生を懸けて必死に取り組み、一人でも多くの選手に自分達の夢を実現してもらいたい。時間はあるようで無い」 これは8月下旬に「選手たちよ!時間はないぞ」と題して書かれたものだが、もはや10月。来月のドラフトに向け、まさにアピールの時間は少ない。 夏場以降、リーグは荒療治ともいえる方法で選手を刺激してきた。 一つは「プロスペクト」と呼ばれる選手の格付けリストを発表したことにある。各チームの監督、コーチが「現時点でどの選手がプロに近いか」を投手と野手に分けて格付けし、それをファンに公表する。米マイナーリーグでも実施されている制度を用いて、選手の危機感をあおるのだ。さらにシーズン途中でも契約を解除する選手を発表し、新しい選手を入団させる。これも刺激策の一つだ。 プロ野球に選手を1年目から送り込めるかどうか。これは四国アイランドリーグのレベルを測る上で重要な試金石となる。だからこそ、リーグも躍起になるのだろう。 もう一つの試金石はリーグ経営だ。「平均観客数800人」というシーズン開幕当初の数字はクリアできているのか。そう思って9月に行われた計38試合を調べてみると、平均観客数は827人。最少は238人、最多は1904人だった。 目標とほぼ同じ程度の数字が出ているのを見ると、的確な目標設定だったといえるのかも知れない。しかし、来季以降もこのままでは心もとない。原因はおおよそ見当がつく。 特に苦戦しているのは夜間照明付き球場のない高知での試合で、平日は200人〜300人が当たり前となっている。それを分かってか、石毛代表は9月の高知県議会に出向き、本会議終了後に講演の場を得て熱弁をふるったという。当然、これからは公的な協力も得なければならない。高知の場合、ナイター照明の設置が何よりの課題といえる。 試行錯誤を重ねた1年目のシーズン。その「決算」をドラフト会議と位置付けるのならば、11月18日にどんな結果が待っているか。石毛代表は「6人ぐらいは指名されるかも知れない」と話しているそうだ。 |