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vol.357-1(2007年6月20日発行)
岡崎 満義 /ジャーナリスト
ロッテの英断に大賛成!

 2005年にスタートした独立リーグ・四国アイランドリーグの1球団(高知)を、ロッテが買収する、という。6月19日付スポーツ報知が伝えるバレンタイン監督の談話が素晴らしい。きちんとした野球観をもった監督だ。

 「エリートだけでなく日本人の多くの選手がプロ野球に入ってくる機会を持ってほしい。他球団も同意して賛同してほしい」

 「今年のドラフトでは30人ぐらい獲りたい。そのうちの約20人を既存のクラブチームに送って育てる」

 「育てるには試合に出ることが必要だし、しっかりとしたプロに指導を受けなければならない」

 球団買収が実現すれば、大量に育成選手と指導者を高知球団に派遣し、試合をたくさん経験させたい、という。私はもろ手をあげて賛成だが、簡単には実現しそうにないらしい。アマチュアの学生野球、社会人野球界との微妙な関係があり、また、ドラフト指名は12球団で年間120人以内という協約もある。また、育成選手の派遣はOKでも、球団保有にはコミッショナー実行委員会の承認が必要など、いくつも厚い壁が立ちはだかっているようだ。

 しかし、今の2軍は怪我したり、不調の1軍選手の調整場所となっていて、支配下選手以外の育成選手は1試合5人までの出場となっており、ほとんど育成選手のためには機能していないという。

 ロッテの方式は、いわば“3軍”を本格的につくって、試合数をふやし、若い選手育成の実をあげたい、ということだから、これは何とかして実現し、他球団も右へならえしてほしいものだ。

 選手は練習だけでうまくなるわけがない。練習と試合がうまくミックスされて、はじめてうまくなる。プロを目指すぐらいの力のある選手なら、なおさらファンの声援や野次の聞える試合で、技を磨いていくことが必要だろう。

 私は高校野球でもそうだと思っている。野球有名校には100人前後の部員がいる。1軍ベンチ入りできる選手はほんのひとにぎり。せいぜい20人。あとの選手はいわゆる下積み、縁の下の力持ち的なことになる。一度も試合に出ることなく卒業する選手も多い。「下積みの苦労は、必ず将来大きな人生の力になる」などと、監督や部長から精神訓話をされるのだが、誰だって試合に出たい。試合を楽しみたい。

 少なくとも、1軍同士の練習試合を計画するときは、2軍同士の試合も同時に行うようにはできないだろうか。同じグラウンドの前座試合として、あるいは別のグラウンドで、2軍の試合も同時進行する。できるだけ多くの選手が自分の力に合わせて試合を楽しむことができることが基本、と考えられないだろうか。できるかぎり、「下積み」をやめるシステム。甲子園出場が最大目標になる野球観の中には、そんな考え方は許容できる余地はないかもしれない。そんなことをやれば、高校野球のレベルが低下する、といわれるかもしれない。しかし、多くの選手の野球をしたい、試合に出たい、という気持をどう尊重するか。できるだけ多くの野球少年に野球をやってきてよかった、と思わせるようなシステムを考えられないか。それは甲子園至上主義からの脱却ともなる。

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