国際オリンピック委員会(IOC)が、2012年のロンドン五輪にスケートボードを採用するかどうかの検討を始めたというニュースが先週流れてきた。野球とソフトボールが除外される同五輪で、新しく採用が考えられているようだが、「それにしてもなぜスケボー?」の疑問を抱かずにはいられない。 06年のトリノ冬季五輪でスノーボードが採用され、エキサイティングなシーンがテレビ受けした点が大きいのだろう。スノーボードと同様、スケートボードも若者に人気のあるアクションスポーツ総合大会「Xゲーム」の人気種目である。そういうことが評価されているようだ。 もう一つ驚いたことがある。IOCは、国際スケートボード連盟がIOCの承認団体ではないため、国際自転車競技連合(UCI)の傘下としてスケートボードを実施しようと考えており、すでにUCIとも協議を開始しているという。しかし、スケートボードと自転車がどうして同じ競技として位置づけられるのか。自転車の競技会場をアレンジすれば、スケートボードもできるというわけか。 ところで、日本ではどのような活動が行われているのだろう。調べてみると、日本スケートボード協会という団体が存在する。日本オリンピック委員会(JOC)にも日本体育協会にも加盟しているわけではない。その公式ホームページによると、多数の協会が70年代後半に存在したが、その後、活動休止状態となる組織が多かったため、一時期のブームや利害関係に左右されないよう、現役選手らが中心になって「スケーターの為のスケーターによる協会」として82年3月に日本協会がスタートしたという。 現在、国内のスケートボード人口は正確に把握されていないが、競技者といえるのは、大会に出場した選手らを単純合計して2100人。03年までは公認のプロ資格制度があったが廃止され、現在の大会はオープンの賞金大会が開催されているようだ。ただし、プロ選手が消えたわけではなく、スポンサーをつけ、スケートボードのみで生活しているような選手も10人程度いるという。 今後、日本スケートボード協会がJOCに加盟するかどうかの議論も出てくるだろう。IOCが考えるように、自転車競技の傘下に置くか。それとも独立した国内統括組織として認めるか。 路上や地下道などを使った若者の遊びといったイメージは強く、他のスポーツのような「競技」としての認知度が高いわけではない。IOCの猪谷千春副会長は以前、「オリンピックというバスはもう満席状態だ。誰かが乗るには誰かが降りなければならない」と話していた。新しい乗客としてバスに乗り込んでくるのが、そうしたストリート・スポーツとなれば、われわれが持つスポーツ観も変わってくる。いずれはナショナルトレーニングセンターでスケートボードの強化合宿が行われ、低年齢世代の英才教育がなされるのだろうか。違和感はぬぐえない。IOCは五輪の将来像にどんな青写真を描いているのか。 |